2019年に読んで良かった本・小説10選!

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あっという間に12月になり、気づけば年末……!
2019年も残すところあと僅かとなりました。

この時期は普段にも増して、時間が過ぎるのが早く感じますね。

1年が足早に過ぎ去っていく中、一体どれだけの本を読むことができたのか……?
数えてみると、今年は77冊の本と出会うことができました。

そこで今回は、2019年に刊行された本の中から「読んで良かった本」を紹介します。

2019年以外に刊行された作品から選んだ番外編も合わせてどうぞ!

「ランチ酒 おかわり日和」原田ひ香

この本に出会ったのは、今年の7月中頃。

日課の本屋巡りをしていると、なんとも美味しそうな装丁イラストをした新刊が置いてあるではありませんか!?

それが原田ひ香さんの「ランチ酒  おかわり日和」との出会いです。

“おかわり日和”は続編だったので、1巻の「ランチ酒」を探して早速購入しました。

1巻の装丁イラストもとっても美味しそう……!

完全なジャケ買いでしたがこれが大正解でした!

哀愁漂う物語の合間に登場する、なんとも美味しそうな料理とお酒が食欲をそそります……!

この作品で紹介されるメニューがあまりに魅力的だったため、「ランチ酒に登場する実在店舗はここだ!」という記事まで書いて、1人で食べ歩きツアーまで開催してしまいました。

グルメ小説がお好きな方にめちゃくちゃオススメします!

私はこの本をきっかけに原田ひ香さんのファンになりました。

気になる方は、まずは1巻からどうぞ!

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「Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス」石持浅海

石持浅海さんの「Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス」も、私が好きなグルメ小説の1冊です。

まさか今年になって続編が出るとは思っておらず、刊行当日は嬉しくて興奮してしまいました!

美味しいお酒と肴の最高の組み合わせをを堪能しながら、日常生活に潜む謎を解く小粋なミステリー小説で、読んでいると思わずお酒が飲みたくなります。

こちらも気になる方は、まずは1巻からお楽しみください!

この作品は、登場する仲良し3人組のキャラクターがとにかく良くて、飲み会の席で語られる何気ない会話が魅力です。

その中で繰り広げられるミステリーは、ゆるさの中にスパイスが効いていて、思わずニヤニヤしてしまうような面白さ!

「生カキとボウモア」のように、お酒と肴の最高の組み合わせはセンスが良くて、思わず真似したくなりますよ。

飲んべえのだらだらミステリーかと思いきや、結末は意外にも驚かされます!

一押しの酒呑みグルメミステリー小説です。

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「いけない」道尾秀介

道尾秀介さんの「いけない」はとにかく凄かった!

なにが凄いって、こんなミステリーは今までに読んだことがないほど斬新です。

とある街を舞台とする連作短編集なのですが、1つ変わった点があります。
それは、章末ごとに写真が掲載されていること。

その写真を見ることで真相がガラリと変わる究極のギミックが隠されており、読者が物語の一員となって謎解きをする“体験型ミステリー”という全く新しいジャンルを作り出しました!

読んだ人同士で語り合いたくなる読書会向きの作品ですね。

今年読んだミステリーの中で1位か2位か(後ほど登場する「medium」と迷います……)というほど謎解きが面白い作品でした。

超オススメです!

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「カインは言わなかった」芦沢央

私は芦沢央(あしざわよう)さんの作品を今作で初めて読みましたが、そのパワフルさに圧倒されました。

「カインは言わなかった」は、芸術にすべてを捧げた男の激情を描く慟哭のミステリーです。

人間が抱える激情について、狂おしいほど綿密に描かれています。

通常のミステリーとは一線を画する、非常にディープで神秘的な作品ですが、読み終わった最後に胸に残るのは希望を感じるスポットライトの光です。

あまりにも感慨深い作品だったので、「今期の芥川賞受賞作にノミネートされるのでは……!?」と個人的に考えていたほど印象に残っています。

「芦沢さんの他の作品も読まなくては……!」と否が応でも思わせる名作です!

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「無限のi」知念実希人

知念実希人さんといえば現役の医師でありながら、とんでもない量のミステリー小説を書くスーパー作家のひとり。

その職業柄、医療系ミステリーを得意としています。

自著の最高傑作として満を持して刊行された「無限のi(ムゲンのアイ)」は、上下巻からなる700ページ超えの超大作!

眠り続ける謎の奇病「イレス」患者を救うべく、医師でありユタと呼ばれる霊媒師の血を引く主人公の愛依(あい)が、患者の作り出した無限の世界に飛び込み魂の救済をする幻想的なミステリー小説です。

展開も結末も予測不能で、次々と巻き起こる出来事に頭がパンク寸前!
一気読み必須で感動の結末まで目が離せません!

この物語の執筆中に亡くなった知念さんの愛猫ハリー君への想いも感じ取れ、最後の一文は感慨深いものがありました。

心を鷲掴みにされて盛大に泣ける作品です。

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「ツナグ 想い人の心得」辻村深月

辻村深月さんの「ツナグ 想い人の心得」は、100万部超えの大ベストセラー「ツナグ」の待望の続編です。

一生に1度だけ死者との再会を叶えてくれるという「ツナグ」。

最愛の祖母からその役目を引き継いだ当時高校生だった歩美(あゆみ)は、7年経った今では会社員として働きながらその務めを果たしていました。

今作では、成長して少し大人になった歩美と再会することができます。

とっておきのジュンヤワタナベのコートを着て、ツナグとして奮闘していたあの頃の歩美が懐かしい……。

また、何と言っても特筆すべき点は、前作の衝撃話「親友の心得」で登場する嵐美沙(あらしみさ)が再び登場することです。

今作を読むことでようやく救われます。
まさしく「読んで良かった!」と思える作品です。

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「新章 神様のカルテ」夏川草介

「新章 神様のカルテ」は、映画化もしたベストセラー「神様のカルテ」シリーズの第5作。

新章となる今作は、夏目漱石をこよなく愛する一風変わった青年医師の栗原一止(くりはらいちと)が転職した地方の大学病院を舞台としています。

厳しい医療現場の中で繰り広げられる“日常”と、ささやかな“希望”を描いた作品です。

文章が独特で(まさに夏目漱石のよう)、読みにくさを感じる方もいるかもしれませんが、ハマると抜け出せなくなるのが「神様のカルテ」シリーズ。

1巻が刊行されたのは2009年(文庫は2011年)なので、もう10年も経つのですね。

物語の中では特別な奇跡が起きるわけではなく、描かれるのはあくまで病院での“日常”です。

しかしその日常の中にこそ心を揺さぶるドラマが詰まっています。

「こんなに泣いたのは久しぶり」というくらい、思い切り泣いた作品です。

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「蜜蜂と遠雷」恩田陸

2016年に直木賞&本屋大賞をダブル受賞した「蜜蜂と遠雷」は、2019年に文庫化だけでなく映画化もされ、続編のスピンオフ小説となる「祝祭と予感」も刊行されました。

私は恩田さんの作品があまり得意ではなかったので今まで食指が動かず……。

恩田さんの作品はあっさりしているというか掴み所がないというか、物語をしっかりと終わらせずに完結させるところがあるんですよね。

しかし、ここまで話題になっている作品です。
かなり出遅れましたが文庫化されたタイミングで読んでみたところ、なるほど、これは面白い!

登場人物の心の機微やドラマチックなフィナーレが、読者として望んだ通りに展開されていき、これは良い意味で大衆的で誰もが楽しめる作品です。

もっと早く読めばよかったと後悔しました……!

あらすじはピアノコンクールの青春劇なのですが、ピアノなんて弾けなくても驚くほど引き込まれます。

特別な知識は必要なく、ピアノを知らない方でも楽しめる大衆娯楽的な作品です。

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「medium(メディウム)」相沢沙呼

相沢沙呼(あいざわさこ)さんの「medium(メディウム)」は、“このミステリーがすごい!”及び“本格ミステリ・ベスト10”の第1位をダブル受賞した、今もっとも注目されている本年度NO.1のミステリー小説です。

私は本屋で気になりつつも、読んでいない本が10冊以上溜まっているので買うのを控えていたのですが、サウナ探偵さん(@krsw_lapin )のレビューを見てすぐに買いに走りました。

というか、サウナ探偵さんのブログこそめっちゃ面白い……!

www.sauna-detective.com

買って良かった! 読んで良かった!
まさに今年を代表するミステリーです!

全てが伏線となり、最終章で見事に回収し、それを破壊していく驚愕の物語。
本当に構成がよくできています! 凄いなこの本……!

この作品は、霊媒探偵の城塚翡翠(じょうづかひすい)による霊能力で犯人がすぐにわかるのですが、そこには証拠能力がありません。

そこで活躍するのがミステリー作家である香月史郎(こうげつしろう)。
翡翠の霊能力を元に犯行を証明していくという新しいスタイルのミステリー小説です。

翡翠ちゃんがとにかく可愛くて仕方ないのですが、そういう不届き者はサウナ探偵さんが言うように最終章で死にます。

私も無事に死にました。

あまりの衝撃に言葉を失いますが、本当に「読んで良かった!」「面白かった!」と言える作品です。

「まずはこれ食べて」原田ひ香

2019年の年末ギリギリに刊行された原田ひ香さんの「まずはこれ食べて」。

今年は「ランチ酒」で原田ひ香さんフィーバーでしたが、この作品も本当に良かったので紹介します!

家政婦の筧(かけい)みのりが派遣されたのは、大学生の友人同士で起業して軌道に乗った、とあるベンチャー企業。

多忙な毎日を送る社員の健康の為に彼女が作るのは、心がホッとする絶品のオフィス飯。

無愛想だが完璧な家事を行い、美味しい料理を振舞ってくれる筧を通じて、社員たちはだんだんと自分たちの生活を見つめ直していきます。

原田ひ香さんの作品に漂う“哀愁”がいい味出しており、心に沁みる物語に登場する美味しそうな料理が本当に堪りません!

人生の酸いも甘いもとことん味わう、滋味溢れる連作短編集です。

番外編(2019年以外の本)

ここまで2019年に刊行された本の中から「今年読んで良かった本」を紹介しました。

ここからは番外編として、2019年より以前に刊行された本の中から、私が今年初めて読んで特に印象に残っている作品を紹介します。

2019年発売の新刊ではありませんが、読んで良かった3冊です!

「ここは、おしまいの地」こだま

番外編最初の1冊は、こだまさんの「ここは、おしまいの地」です。

この作品は、文喫の選書サービスを利用して「泣ける本」をリクエストした際に紹介して頂きました。

今年は文喫に3回訪問しましたが、居心地が良くて堪りません!

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泣ける本として紹介して頂いた本作ですが、実は死ぬほど笑えます……!

「泣ける本を頼んだはずなのになんで!?」と読み始めは疑問に思いますが、「涙が出るほど笑える本なんだ!」と気付いた時の興奮といったら、もう……!

更に、読み進めていくと、しんみり泣けてくる哀愁がなんとも絶妙です。

エッセイを読んで、ここまで感情を揺さぶられたことは初めての経験でした。

とてもオススメの作品です!

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「ナミヤ雑貨店の奇蹟」東野圭吾

番外編の2冊目に紹介するのは、東野圭吾さんの「ナミヤ雑貨店の奇蹟」です。

この作品は「泣ける本」を探している時に、ツイッターで知り合ったなおこさんがリツイートしてくださったことがきっかけで知りました。

東野圭吾さんといえばミステリー界の巨匠ですが、この作品は少し趣が異なります。

コミカルでハートウォーミングな話の展開が心地よい、エンターテイメント性の高い1冊です。

構成が素晴らしく、ミステリーさながらの伏線回収も爽快……!
そして、泣けます……!

読み終わった後に「いい本を読んだな〜」という気持ちにさせてくれる作品です。

紹介して頂いたなおこさん、ありがとうございました!

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「本をめぐる物語」ダヴィンチ編集部

「本をめぐる物語」は、Bar Bookshelff(バー ブックシェルフ)さんのマスターに紹介して頂いた作品です。

「なかなか侮れない短編集です」と勧めていただきました。

この作品は、複数の作家が描く“本をテーマにした物語”を集めたアンソロジーです。

全部で3巻ありますが、中田永一さん、宮下奈都さん、原田マハさん、小手鞠るいさん、小路幸也さん、大島真寿美さん、中山七里さんなど、錚々(そうそう)たる作家が集まっております。

このメンツを見ただけで、ただ事ではない短編集だということが伝わりますでしょうか。

「本」というキーワードを元に作られた物語は、作家毎に雰囲気や読み心地が異なります。

さすがビックネームが揃っているだけのことはあって、読み応えがあり1編1編がとても面白い!

「この短い小説でこんなにも物語を広げてくるのか!?」という驚きや、「初めて読んだ作家さんだけど他の作品も読んでみたい!」という発見がありますね。

普段あまり本を読まない方にも読みやすく、幅広い年齢にオススメします!

なかなか侮れない短編集ですよ!

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まとめ

今回は、2019年に刊行された本の中から「読んで良かった本10選!」と、2019年以外に刊行された「番外編3選!」をお届けしました。

振り返ってみると、今年は私の好きな作品の続編が多く刊行された年ですね。

また、ミステリーにも改めてハマったことも特筆すべきところ!

やはり続きが気になる展開のミステリーは、読みだすと止まらず一気に読んでしまいます。

来年は新刊や話題本以外にも、本好きの方にオススメして頂いた本をもっと読んでいきたいです。

読書会も開催していきますので、ぜひオススメの本があれば教えてください!

今年1年間ブログを読んで頂きありがとうございました。

来年も引き続き「ホンダナ!」を宜しくお願いいたします!