東野圭吾の「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は優しい気持ちが心に灯る笑って泣ける本!

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今回、紹介する作品は東野圭吾さんの「ナミヤ雑貨店の奇蹟」です。

この本と出会ったのは、とあるツイッターでのつぶやきがきっかけでした。

それは、以前投稿した「1000冊以上の本から選んだ感動して泣ける本7選」にリツイートしてくれた、なおこさんの一言。

このツイートに突き動かされて即買いしてきたのが、もちろん「ナミヤ雑貨店の奇蹟」です。

早速読んでみたところ……、コミカルで笑える展開でありながら、優しさや切なさが胸に刺さり思わず涙が溢れる傑作でした!

こういった心を動かされる本に出会えるから読書はやめられません!

そんな訳で今回は、悩める人に読んでほしい傑作「ナミヤ雑貨店の奇蹟」のブックレビューをお届けします。

【あらすじ】悩み相談を請け負う雑貨店の奇蹟の物語

悪事を働いた3人組が逃げ込んだあばら屋のような古い家。

そこは、かつて悩み相談を請け負っていた雑貨店でした。

夜が明けるまで身を隠すことにした3人が埃だらけの店内を物色していると、店のシャッターの郵便口から突然手紙が投げ込まれます。

店内に忍び込んでいることがバレたのかと驚いた3人ですが、気づかれた様子はなく、外に人がいる気配もありません。

不思議に思い手紙を開けて読んでみると、それは雑貨店宛に書かれた悩み事相談でした。

一体誰が書いたのか? いつ投函されたものなのか?
埃も被っていない真新しい手紙は昔から落ちていたものには見えず、謎は増すばかりです。

その手紙にお遊び半分で店主に代わって返事を書いてみると、まるで時空を超えてきたかのように、更なる相談事が書かれた手紙が届きます。

顔を見合わせ戸惑った3人は、下手に関わることを恐れながらも再び返事を書くことに……。

それがナミヤ雑貨店で再び起きる“奇跡”の始まりでした。

悩み事相談を請け負い様々な人を救ってきた雑貨店で起きた、時空を超えた奇蹟の物語です。

【書評】笑って泣ける綿密で爽快なストーリー!

私は「ナミヤ雑貨店の奇蹟」を読んで驚きました。

この作品は、ハートフルで、コミカルで、さらにはミステリアスでもあり……、様々な特筆すべき要素がふんだんに詰め込まれているからです。

時空を超えるSF的設定、小悪党3人組のシュールな笑い、人に言えないシリアスな悩み、そして感動の涙……。

その多様性は、様々なものを取り扱い人々の生活を豊かにする、まさに雑貨店のよう。

さらに凄いのはこの様々な要素がお互いの邪魔をせずに共存し、なおかつ1つずつ絡み合って、全てに繋がっていくところです。

物語は5章からなる“連作短編”という形式ですが、章をまたいで伏線を回収していく様子は爽快の一言!

読み終わった後に「いい本を読んだ!」という気持ちでいっぱいになります。

優しさと切なさが胸に刺さり、思わず涙が溢れる!

冒頭にも書いた通り、この作品の前情報は、なおこさんが「今まで一番泣いた本」とのこと。
しかし、“泣ける本”と聞いた上で読むと、自然とハードルが上がります。

果たして泣けるものなのかと訝(いぶか)しながら読んでみると……、優しさや切なさが胸に刺さり、想像以上に泣ける作品でした!

特に私は第2章の「夜更けにハーモニカを」が切なくて……。
いつの間にか涙が溢れていました。

第1章のコミカルな雰囲気から一転してのシリアスな展開と、そこで語られる音楽への想いと最後まで信じ抜いた己の道。

そこに交差するナミヤ雑貨店の悩みごと相談が絶妙でなんとも言えません!

一部の無駄もない素晴らしい構成で物語の中に引き込まれました。

哀しい話ですが胸に響き、優しい気持ちで満たされ思わず涙が溢れる一編です。

読者を飽きさせない展開はエンターテイメントの極み!

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」の素晴らしいところは、その構成力の高さです。

主人公がその都度変わる連作短編集のため、物語の視点が変わっていきますが、しっかりと繋がっていき全く飽きさせません。

「今までこの作品を読んでこなかったのはもったいなかった」と思うほど、楽しく読むことができました。
教えて頂いたなおこさんには感謝です!

東野圭吾さんの作品のイメージはサスペンス調のミステリー小説だと思っていましたが、少し……というかかなり印象が変わりました。

今まで「白夜行」や「手紙」などの代表作を3、4冊しか読んでこなかったので、他の作品も読んでみたいですね。

そう言えば、随分前ですが嵐の二宮くんが主演したドラマ「流星の絆」も原作は東野圭吾さんでした。

あのドラマも、シリアスやコミカルやミステリーなど様々な要素が絡み合っていてとても面白かった記憶があります。

元々キレのあるミステリーを描いて培われた構成力が、遺憾無く発揮されたエンターテイメント小説が「ナミヤ雑貨店の奇蹟」なのでしょう。

さすが直木賞の選考委員でもある東野圭吾さんの作品は侮れません!

とても面白い作品でしたので、皆さんにも是非オススメしたい1冊です。

まとめ

「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は、悩める人々を救う雑貨店を舞台にした奇蹟の物語です。

物語の構成が素晴らしく、内容はハートフルで、コミカルで、さらにはミステリアスでもあり、様々な特筆すべき要素が描かれます。

「泣ける本」として紹介して頂き、ハードルが上がりながらも実際に泣くことができた作品で、日々「泣ける本」を探している私としては大収穫の作品でした。

主人公の視点がその都度切り替わる5章からなる連作短編集ですが、章を超えて物語が繋がっていき、最後には1つにまとまっていきます。

読み終わったときに「いい本を読んだ!」と思わせてくれる作品です。