1000冊以上の本から選んだ思わずクスリとしてしまう笑える小説7選!

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今回は、今まで読んだ1,000冊以上の本の中から、思わずクスリとしてしまう「笑える本」を紹介します。

テレビや漫画と違い、視覚的な要素がない小説で笑うことは非常にハードルが高いですよね。

そんな中でも、文章のテンポや絶妙な表現によって思わず笑わされたときは、まさに至福のひとときではないでしょうか。

笑える本は人を元気にして、心に残り続けます。

しかし、面白い本こそあれど、思わず笑ってしまう作品に出会えることは滅多にありません!

笑いのツボは人により異なりますし、読むタイミングによっても感じ方は人それぞれ……。
だからこそ出会えると嬉しいのが「笑える本」なのです。

今回は、今まで読んだ沢山の本の中から、私の心に残っている7冊の「笑える本」を紹介します。

思わず笑ってしまう伊坂幸太郎のエンタメ小説「バイバイ、ブラックバード」

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主人公の星野は莫大な借金を抱え、ある組織の監視下に置かれていました。

〈あのバス〉で連れて行かれ、その身を売られるまでの間、監視役の繭美(まゆみ)と行動を共にすることに……。

繭美は身長190センチ、体重200キロという巨体を持ち、傍若無人で他人を見下し、口も悪ければ性格も悪いモンスターのような女性です。

そんな繭美に24時間監視されている星野は、〈あのバス〉が来て連れて行かれる前に「5人の女性に会わせて欲しい」と頼みます。

星野はなんと5股をかけており、その女性たちに自分がいなくなる前に別れを告げたいというのです。

「時間の無駄だ」と繭美に悪態をつかれながらも組織に確認を取ると、「おもしろそう」という理由で希望が通ることに。

星野は自分がいなくなってしまうことを隠すために「繭美と結婚する」という嘘をつき、5人の恋人たちへのお別れ行脚(あんぎゃ)を始めます。

星野と繭美、そして5人の恋人たちが織りなすなんとも不思議な数週間を描く、思わず笑わせられること必須のエンターテイメント小説です。

キャラクターが濃すぎて振り切れている!

「バイバイ、ブラックバード」はとにかく笑える小説です。

笑える本が読みたい方は、まずはこの本を手にとってください。
シュールでおかしみに彩られたストーリーが面白すぎて、私は声を出して笑ってしまいました。

伊坂幸太郎さんのキレのある独特な文章と、魅力たっぷりなキャラクターが堪りません!

マツコ・デラックスさんを彷彿とさせる繭美のキャラクターが強烈で、1度読めば2度と忘れることはなく、不思議な世界へと誘うキーマンとなります。

繭美が所属する組織の謎や、ドナドナよろしく連れて行かれる〈あのバス〉とは一体何なのか!? 

そんな想像力を掻き立てられるのも、この小説の面白さの1つです。

また、油断しているとあれよあれよと言う間に伏線を回収していき、ついには泣きそうになる感動的なシーンまで登場し、ただ笑えるだけの作品ではないことに気付きます。

意外と奥深い要素もありつつ、それでもやはりただ笑えることがすべてだと思えるエンターテイメント小説を、私は他に知りません!

イチオシの笑える本です!

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天才と変態は紙一重だと気付かされるリリー・フランキーの名著「誰も知らない名言集」

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セクハラが社会問題として叫ばれ、挨拶をすることにすら気を使わなくてはいけないこのご時世に、1ミリも寄り添わない下世話すぎる作品。

それが、リリーフランキーさんの名著「誰も知らない名言集」です。

この作品は、1話4〜5ページで構成された短編集ですが、前半1〜2ページ部分に前振りがあり、後半2〜3ページで名言が生まれた経緯が書かれます。

星新一さんのような1話完結の超短編ショートストーリーを全身全霊で下ネタに傾けたと説明すればわかりやすいでしょうか。

内容の80%以上が下ネタで、残りの20%は常軌を逸した変態たちの目を背けたくなるような日常が描かれています。

くだらなくて、下世話で、為になることなんて1つも書かれていませんが、面白すぎて何度も読み返しては笑ってしまう、人生の価値観が変わる錯覚すら覚える危険な作品です。

潔いほどの下ネタは笑わざるを得ない!

「誰も知らない名言集」は、子供の目には決して触れさせてはいけないと感じるほどの下ネタに振り切れた作品です。

リリーさんの面白すぎる文章を読んでいると、自分がいかに凡人であるかを思い知らされると同時に「天才と変態は紙一重なんだ」ということに気付かされます。

普段なかなか目にすることのない変態たちの日常を、対岸の火事を眺めるような感覚で楽しめるところにこの作品の価値がありますね。

変態を間近で見るのは怖いけど、自分に火の粉がかからないところで眺める分には面白い……!

私は普段電車の中で本を読むのですが、あまりに異常な人たちの名言に笑いを堪えきれませんでした。

笑うことを我慢する状況がより笑いを呼んでしまうこともあるので、電車の中で読むのはお気をつけください。

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三浦しをんのイチオシ作品!「ロマンス小説の七日間」は新感覚恋愛小説!

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あかりはロマンス小説の翻訳家。

28歳の独身ですが、恋人の神名(かんな)と半同棲しています。

ある日、中世騎士ウォリックと女領主アリエノールの歯も浮くような恋愛小説の翻訳に奮闘していると、いつもより早く帰宅した神名が突然「仕事を辞めてきた」と言い放ちます。

不可解な恋人の言動に戸惑うあかりは、思わず自分のささくれ立つ気持ちをロマンス小説の中にぶつけてしまいます。

あかりの手によって原作とは全く違った展開にどんどん創作されていくストーリー。
やがて物語はとんでもない結末に……!

あかりと神名、ウォリックとアリエノールの行く末は一体どうなってしまうのでしょうか?

直木賞作家の三浦しをんさんが贈るハチャメチャな新感覚ラブロマンス小説です!

ハチャメチャ改編のロマンスストーリーがツボにはまる!

「ロマンス小説の7日間」の見所は、恋人の神名による「仕事辞めてきた」という爆弾発言をきっかけに繰り広げられるあかりの大暴走です。

もはやロマンス小説とは言えないほどのハチャメチャな展開に、笑いを噛み殺しながら読み進めると、予想を超える結末へと繋がっていきます。

このエンターテイメント性の高さはさすがの一言です。

ところで、“王道”と呼ばれるロマンス小説は、大筋のストーリーが決まっています。

つまり、ヒーローとヒロインが出会って恋に落ち、些細なことで喧嘩をした隙に悪役にヒロインがさらわれ窮地に立たされますが、それを見事に乗り越えて2人は末長く幸せに暮らすのでした。ハッピーエンド。と、大体こんな感じ。

1章を読むだけで結末が想像できる王道ロマンス小説に対して、「ロマンス小説の七日間」はあかりの暴走によってありえない展開を迎える規格外のロマンス小説です!

「一体この物語はどこに行き着くのだろう?」と不安になる感覚はまさに“一寸先は闇”ということわざが思い浮かびます。

このハラハラ感がハチャメチャすぎて、思わず笑ってしまう新感覚ラブコメディです。

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こだまの「ここは、おしまいの地」は泣くほど笑える自伝的エッセイ!

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「ここは、おしまいの地」は20章からなる短編集で、それぞれにこだまさんの半生が描かれたエッセイです。

この作品で描かれる出来事は一見するといたって“普通”ですが、その中に“文才”というオブラートに包まれた異常が隠れています。

要するに、普通そうに見えて全く普通ではありません。

この本で描かれる出来事はおそらく実話だと思いますが、はっきり言って常軌を逸しており、それでも色鮮やかな日常で、異世界の物語のような錯覚さえ覚えます。

おじいちゃんが車に轢かれるシーンでは本来笑ってはいけないはずなのに、運転していた若者の未来を気遣い「逃げろ!」と促す漢気に溢れるその姿がたくましすぎて、思わず吹き出してしまいました!

「ここは、おしまいの地」は、そんなシュールな笑いが楽しい作品です。

笑える本のエースで4番! 面白すぎて涙が出る作品!

「ここは、おしまいの地」は、文喫の“選書”サービスを利用して「泣ける本」をリクエストした時に選んでもらった1冊です。

ところが、「泣ける本」をリクエストしたにも関わらず、この本の帯には「爆笑しました」というコメントがあり、どう考えても「泣ける本」には見えません……。

初めは何事かと困惑しましたが読み始めてすぐに納得!
「笑いすぎて涙が出る本なんだ!」と気付いた時には、より一層この本が素敵に輝いて見えました!

決して明るくも派手でもなく、どちらかと言えば暗く地味に見えますが、文章の端々に言葉のセンスを感じ、シュールな笑いが堪らない作品です。

私はこの本を読んで、こだまさんの文章が大好きになりました!

小説ではなくエッセイですが、ポテンシャルが非常に高く笑いの瞬発力がある、投げてもよし打ってもよしの泣けて笑える作品です。

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タイムスリップした青年が“未来の名曲”で音楽史を塗り替える!?五十嵐貴久の「1981年のスワンソング」

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主人公の松尾は2014年の現代社会に生きる29歳のサラリーマン。

学生時代にバンドを組んでギターに明け暮れていたこともあり、弾き語りはお手の物。

何度か聴いたことのある曲なら譜面を見ずに弾けるくらいの腕前の持ち主ですが、社会に出てからは家電屋に勤め、平凡な生活を過ごしていました。

そんなある日、手ぶらでコンビニへ買い物に向かった帰り道に突然1981年にタイムスリップしてしまいます。

松尾は途方に暮れながらも、落ち着ける場所を求めて代々木公園に辿り着き、日銭を稼ぐために平成のヒット曲をレパートリーに路上ライブを始めます。

そこに現れたのはレコード会社で楽曲をプロデュースする敏腕ディレクター。

松尾は天才作詞作曲家としてスカウトされ、音楽制作の現場で働くことになります。

昭和の時代に平成の名曲で音楽史を塗り替えていく、タイムスリップエンターテイメント小説です。

他人のヒット曲で音楽史を塗り替えていくハチャメチャストーリー!

「1981年のスワンソング」は音楽業界が大盛況だった80年代〜90年代に青春を過ごした昭和世代にオススメの作品です!

好きなアーティストのCDが出たら予約して発売日に購入し、ウォークマンやミュージックコンポで毎日楽しんでいた私は、終始ニヤニヤしながら読むことができ非常に楽しめました。

昭和の時代にタイムスリップした主人公が平成の名曲をバンバン大ヒットさせていくという、ありそうでなかった設定が最高です!

桑田佳祐さんの「TSUNAMI」を大絶賛され、「桑田を超える才能だ!」と、もてはやされるシーンは思わず笑っちゃいますね。

文章が堅苦しくなく、誰もが知っている名曲がたくさん出てくるので親しみやすく、名曲揃いのアルバムの選曲を見るだけで笑えます。

何も考えずに気軽に楽しめるエンターテイメント小説としてオススメの作品です!

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ホラーの鬼才・朱川湊人の「花まんま」は怖くて不思議な感動作!

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「花まんま」は昭和30年〜40年の大阪を舞台に、当時子供だった主人公たちの思い出が語られる6章からなるホラー小説です。

死者や霊魂などが物語の端々に登場するため、1冊の本を通じて独特な世界観が味わえます。

ホラーなので内容は少し怖いのですが読後感は決して悪くなく、感動的で温かい気持ちになれる短編集です。

この6章の中で私が笑えたのは「妖精生物」という話。

道端で怪しげな男が路上販売していた妖精生物は、その昔魔法使いが作ったとされる不老不死の生き物です。

瓶の大きさに合わせて体の大きさを変える不思議な性質を持ち、餌は水に溶かした砂糖のみ。 この不思議な生き物を手に取るとなんとも言えない甘美な快感をもたらします。

主人公の少女が妖精生物と出会い手放すまでを描く、妖しくて官能的で不条理な物語。

妖精生物が怖すぎて思わず笑えるほどの、1度読んだら忘れられない作品です。

怖すぎて笑えたのは初めての経験!

私は今までたくさんの本を読んできましたが、怖過ぎて笑った作品は初めてです(笑)。

「妖精生物」のクライマックスは痛快なほどに恐ろしく、ドン引きしながら笑いました。

笑う以外に為す術もない、人間の防衛反応としての笑いを引き出せる「妖精生物」はすごい作品だと思います。

決して猟奇的だったり、殺伐としているわけではなく、ただただ衝撃的な怪奇現象を目の当たりにしたような感覚です。

そんな恐ろしい作品ですが、ホラーが好きな方よりも、むしろ私のように怖いものが苦手な方にオススメします……!

おそらくその方が笑えるはず!
決して読後感が悪くないのも不思議な感覚で、このドン引き具合を共有したいです笑。 

「花まんま」はさすが直木賞受賞作と言うだけのことはあり、どの編も甲乙つけがたい完成度の高い短編集なので、ホラーとはいえ文学を楽しむ気持ちで気軽に手に取ってみてください!

そして一緒に笑いましょう!

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伊坂幸太郎の「残り全部バケーション」は伏線回収が痛快な裏稼業コンビの物語!

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今回2度目の登場となる伊坂幸太郎さんの「残り全部バケーション」は、あくどい仕事で生計を立てる溝口と岡田が活躍する5章からなる連作短編集。

行き当たりばったりの溝口と心優しい一面を持つ岡田の裏稼業コンビが織りなす裏切りと友情の物語です。

1冊を通じて愉快な物語ですが、中でも2章目の「タキオン作戦」がとにかく痛快で笑えました!

偶然出会った少年は父親から虐待を受けており、岡田はその父親の暴力をいかにして辞めさせるか頭を捻らせます。

そこで考え出された「タキオン作戦」は、タイムマシンを作って未来を変えるというもの。

この意味不明な作戦を様々な伏線を張り巡らせて回収していくことによって実現していきます。

物語の大半が伏線で、それを隠そうともせず、当たり前のように回収していく様は傑作で、その見事な手口に思わず笑ってしまうほど……!

読み終わると痛快で清々しい気持ちになれる、伏線回収の新しい形ここにありな作品です。

伏線をぶちまけて堂々と回収していく新しいスタイルに思わず笑う!

「タキオン作戦」は伏線回収の仕方が斬新すぎて笑える作品です。

ここまで伏線を隠さずに張り巡らし、それをおくびにも出さずに回収していく様子はまさに爽快のひとこと!

期待通りに進んでいく過程が傑作すぎて思わず笑ってしまいます。

また、溝口と岡田の裏稼業コンビが繰り広げるシャレの効いたセリフの往来はまるで漫才のよう。

「当たり屋」「不倫」「脅迫」「闇取引」といったアウトローなワードを、ここまでユーモラスに小気味よく描ける伊坂さんは天才としか言いようがありません。

まさに伊坂ワールドが炸裂している作品でその独特な世界観がたまらなく好きになります。

皆さんもぜひ斬新で壮大なトリックを体験してみてください!

見事な展開に笑えますよ!

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まとめ

今回は私の心に残っている7冊の「笑える本」を紹介しました。

本を読んで笑えると良いストレス発散になりますね!

笑える本に出会えると元気が出ますし、人にオススメしたくなります。

シュールな笑い、爽やかな笑い、はたまた怖すぎて思わず笑ってしまう話など様々ですが、笑える本はどの作品も私の心に残って離れません。

今回紹介したのは7作品だけですが、このページは随時追記して更新していきます。

「笑える本」だけでなく「泣ける本」の情報も探しておりますので、「この本こそは!」という作品がありましたら教えて頂けると嬉しいです!

「泣ける本」のまとめ記事も合わせてお楽しみください!

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