毎年思うことですが、時が過ぎるのはあっという間で、気がつけばもう年末……!
2020年は新型コロナウイルスに翻弄された一年でしたね。
個人的には仕事も忙しくあまり本を読む時間が取れずにおりましたが、それでも例年以上に素敵な本に出会うことができました。
中でも今年は大好きなシリーズ物が次々と完結していき、大団円の嬉しさと同じくらい寂しさもひとしおで……。
振り返って見ると、かつてないほど濃厚な一年でした。
今回は、2020年に読んで良かった本を「2020年刊行のイチオシ本」「刊行年問わず読んで良かった本」「シリーズ編」の3コーナーに分けて6冊紹介します!
2020年刊行のイチオシ本!
早速ですが、2020年に刊行された本の中で、最も読んで良かった本を紹介します。
(シリーズ物は除外して後ほど!)
一番良かった本を選ぶのは毎年非常に悩みますが、今年はすんなりと決まりました。
1992年生まれの若手ミステリ作家が贈る、驚きと感動の一冊です。
「あの日の交換日記」辻堂ゆめ
私が今年一番読んで良かった本は、辻堂ゆめさんの「あの日の交換日記」です。
初版が発売されたのは2020年4月ですが売切続出でなかなか買えず、私が手に入れたのは6月の第3版。
書店を探し回ってようやく見つけました。
そのくらい読む前から期待していた作品だったのですが、読み終わるとその期待を大きく上回り、物語の巧妙さに感服……そして感動!
物語のキーワードは、SNSの台頭でもはや脚光を浴びることのなくなった“交換日記”。
そんなアナログな媒体がきっかけとなり、大切な人の為に綴られたそれぞれの日記が謎を呼び、物語に秘められたある真相に繋がっていきます。
この物語の中には、様々な立場のふたりが紡ぐ7編の交換日記が登場しますが、私は「上司と部下」の章で交わされるやり取りが非常に面白く、意外性もあり特にお気に入りです。
物語の優しさにとても癒されますよ。
読みやすく、驚きもあり、感動的な大変オススメの作品です!
2020年刊行以外の読んで良かった本!
次に紹介するのは、2020年刊行以外の今年読んで良かった本ベスト1です。
何を隠そうこの作品は第1回「読者による文学賞」の受賞作品で、私もその賞をきっかけに知りました。
出版に際して利害関係のない読者としての目線で公募された文学賞いうこともあり、特に本好きの方にオススメしたい、ユーモアあり、涙ありの作品です。
「どうかこの声が、あなたに届きますように」浅葉なつ
浅葉なつさんは150万部超えの人気シリーズ「神様の御用人」の著者として名を知られています。
「どうかこの声があなたに届きますように」は、文春文庫から2019年9月に刊行されました。
この作品は、人生に疲れ傷を抱えた20歳の元地下アイドルが、ラジオ番組のアシスタントにスカウトされたことをきっかけに、自分の歩む道に悩み奮闘しながら、ラジオの魅力とあたたかな人情を伝える物語です。
まず光るのは物語のユーモアの感度が高いこと。
ラジオのパーソナリティが繰り広げる小気味の良い掛け合いが本当に面白い……!
読んでいてニヤニヤしてしまうほど言葉のセンスが抜群です。
自然と笑わせてくれる小説はとても貴重で、読んでいて元気が湧いてきますね。
そして何よりこの作品の良いところは、ラジオのパーソナリティの切なる思いを乗せた声が読者の胸に届くこと。
胸にジンと響く言葉は、こだまのように体の中に沁み渡り、これまた活力が湧いてきます。
つまり、この作品を読むとめちゃくちゃ元気が出るのです!
読みやすくユーモアがありながら胸に響く言葉の数々。
オールマイティでどこを取っても素晴らしい作品です。
強くオススメします!
2020年はシリーズ物が大豊作!
2020年は何と言っても私の大好きなシリーズ物が次々と最終巻を迎え、大フィーバーの年でした。
発売日が楽しみでもあり、寂しくもあり、複雑な気持ちになりながら読み終わった時は、積年の思いが溢れ涙が抑えきれないほど!
後半は、2020年に刊行された読んで良かった本「シリーズ編」をお届けします。
「おいしいコーヒーのいれ方 ありふれた祈り」村山由佳
「おいしいコーヒーのいれ方(通称おいコー)」シリーズは、累計545万部超えの恋愛小説の大長編!
1994年から26年間に渡って連載された村山由佳さんの代表作です。
幼い頃に母を失くした主人公の勝利(かつとし)が、父の転勤をきっかけにいとこ姉弟と同居することになり、そこで再会したかれんに恋をする物語。
11巻目からはSecond Seasonに突入し、今年19巻目の「ありふれた祈り」で完結しました。
集英社の“ナツイチ”の定番だったので、初期の連載は読んだことがある方も多いのではないでしょうか。
私は「おいコー」シリーズが大好きで、読書を本格的に好きになったきっかけの作品でもあります。
最終巻の「ありふれた祈り」の発売日には有給休暇を取得して万全の体制でのぞみ、本屋の近くにあるコーヒーショップで10回以上泣きながら読みました。
キャラクターひとりひとりに愛着が湧きすぎて他人事とは思えず、これほどまでに物語の登場人物の幸せを祈ったのは初めてのことです。
この作品と出会って20年以上。
私にとって人生の糧となる、忘れることのない一冊です。
「東京すみっこごはん レシピノートは永遠に」成田名璃子
こちらも私の大好きなシリーズの最終巻、成田名璃子さんの「東京すみっこごはん レシピノートは永遠に」です。
まさか5巻目となる今作で完結してしまうとは思っておらず、正直なところ「もっと読みたかった……!」と寂しさが募ります。
手作り料理を共に食べる共同台所“すみっこごはん”を通じて、寂しさを抱えた人々が心を通わす温かい交流が描かれた連作短編集。
読むと元気が出て心が温かくなる作品です。
私が初めてこの本に出会ったのは、2016年の5月(第7版)に仕事中に立ち寄った三越前にあるタロー書房の文庫平積コーナーだったのを今でも覚えています。
何故だかわかりませんが「いい本に違いない!」と直感的に購入!
その直感は正しく、本の中に愛が見えるようなハートフルな展開に何度も涙しながら読みました。
どんなに辛くても美味しいごはんを食べていれば大丈夫。
ちゃんと食べてさえいれば、大抵のことは乗り越えられる!
心が疲れた時にオススメの作品です。
「マツリカ・マトリョシカ」相沢沙呼
相沢沙呼さんといえば、2019年にミステリー界を震撼させた「medium 霊媒探偵城塚翡翠」が圧倒的に有名ですが、私は「マツリカ」シリーズを推します。
この作品は、“日常の謎”をテーマにした学園ミステリー。
しかしただの学園モノではなく、魔女的な美しさを持つ女子高生マツリカのキャラクターが物語にメガトン級の衝撃を与えるのです。
決して変な趣味はありませんが、美少女に「おまえ」呼ばわりされ罵られたくなる不思議な感覚はこの作品でしか味わえません!
シリーズを追うごとに面白さを増していき、ライトな学園ミステリーかと油断していると、3作目の「マツリカ・マトリョシカ」の本格ミステリっぷりに度肝を抜かされますよ。
一度味わうと癖になる青春本格ミステリの決定版です!
「アルルカンと道化師」池井戸潤
2020年は日本を代表するドラマ「半沢直樹」の年でもありました。
ドラマの放映に合わせて6年間の沈黙を破って刊行された原作第5巻「アルルカンと道化師」。
期待を裏切らない面白さに大興奮したのは言うまでもありません!
池井戸潤さんの作品を読むたびに“人間ドラマの天才”だと思わされますね。
読み始めたら止めることができず、一気に読み終えたのはきっと私だけではないはず……!
今作は普段の半沢シリーズに比べミステリ色が強く、緊迫感のある人間ドラマがより一層ブラッシュアップされた印象です。
シリーズ最高傑作と言っても過言ではありません!
物語の舞台は東京中央銀行大阪西支店。
シリーズ1作目となる「俺たちバブル入行組」の前日譚が描かれます。
ドラマシリーズは今回で終了し、今後続編が撮影されることはないと明言されたので、シリーズの続きが気になるファンの方はぜひ原作を読んでみてください!
めちゃくちゃ面白いですよ!
期待を裏切りません!
まとめ
今回は2020年に刊行された本を中心に読んで良かった本をお届けしました。
この他にもオススメの本はありますが、厳選しての紹介です。
読んだ本の数は例年より少なかったのですが、待ち望んでいたかのように今の私にぴったりな素晴らしい本に出会うことができました。
2020年も残すところあと僅か……。
2018年に始めた当ブログ「ホンダナ!」も2年半が過ぎようとしています。
来年も気ままに更新を続けていきますので、どうぞ引き続き宜しくお願いいたします。
良い一年をお過ごしください!