相沢沙呼の「教室に並んだ背表紙」は物語に想いを馳せる青春小説!

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この本のPOINT!

年明け早々に「今年読んだ本ベスト1になるかも……?」と思わせる良作!

物語の素晴らしさ、本が好きという気持ちに応えてくれる!

寂しくて迷った時に手に取ってほしい救いの一冊!

2021年が始まって早々の1月中頃。

今年に入ってまだ2冊の本しか読んでいませんが、「今年のベスト1かも……!?」と思わせる作品に出会いました。

それが相沢沙呼さんの「教室に並んだ背表紙」です。

よく見ると刊行されたのは2020年12月10日なので、もっと早く知っていれば「2020年に読んで良かった本」にノミネートされていたのは確実……!

sutekinayokan.hatenablog.com

図書室を舞台にした「本が好き」という気持ちに応えてくれる連作短編集です。

今回は相沢沙呼さんの「教室に並んだ背表紙」のブックレビューをお届けします。

“読書”との出会いで救われる少女たちの心模様を描く連作短編集!

様々な悩みを抱えながら学校の図書室を訪れる中学生の少女たち。

寂しさに身悶えながら辿り着いた静寂な空間で、彼女たちは司書のしおり先生と出会います。

いじめや将来への不安、はたまた読書感想文のズルのため……。
普段本なんて読まない彼女たちが図書室に足を運ぶ理由は様々。

そんな彼女たちにしおり先生は本の魅力を伝え、物語に出会うきっかけを与えます。

図書室を舞台に“読書”を通じて変わっていく少女たちの心模様を描く、6編の連作短編集です。

「本が好き」という気持ちに応えてくれる!

「教室に並んだ背表紙」は6人の中学生の少女が主人公ですが、テーマは恋愛でも部活でもなく“読書”です。

しおり先生を通じて出会った本が、迷い苦しんだ彼女たちを優しく導いていきます。

個人的に好みの作風だったこともありますが、物語の随所に散りばめられた救いの言葉に胸を打たれ、ブログを書かずにはいられませんでした。

読書の素晴らしさと「本が好き」という気持ちに応えてくれる物語共感の嵐です。

私はアラフォーのおっさん予備軍ですが、中学生女子に感情移入して泣き散らかすほど心に響きました。

冒頭にも書きましたが、早くも今年読んだ本ベスト1に輝くのではないかと感じています……!

まさに学校図書に推薦したい作品です。

物語の結末のその先に想いを馳せる……!

本の楽しみ方のひとつに“物語に想いを馳せる”ということがあります。

端的に言えば、結末が曖昧ではっきりしない物語に対して、自分でその先を想像し、物語を紡いでいくことです。

賛否両論ありますが、私はこの楽しみ方が大好きで、読書の醍醐味だと思っています。

「教室に並んだ背表紙」は、“物語に想いを馳せる”楽しみを教えてくれる作品です。

最後まで明確に結末が書かれるよりも、微かな希望で締めくくられたその先には、眩いほどの光で溢れているように感じられます。

それはまるで中学生が持つ無限の可能性を示唆しているかのよう。

他にも、相沢沙呼さんらしいギミックも散りばめられており、読書の楽しさが詰まっています。

読書好きの方にも、読書初心者の方にもオススメしたい、とても素敵な作品です。

まとめ

相沢沙呼さんの「教室に並んだ背表紙」は、“読書の素晴らしさ“と“本が好き”という気持ちが随所に描かれた作品です。

読み口はライトノベルのように軽く、親しみやすい文章の中に、読書の醍醐味が詰まっています。

「恋愛」や「スポ根」のように青春真っ只中の小説とは違い、日陰に差し込む優しい光が心地よく、私の好きな本の一冊になりました。

この作品の主人公たちのように、本が嫌いな中学生の女子にぜひ読んでもらいたいですね。

もちろん老若男女、アラフォーのおっさんにもオススメします!

いい本です!