帰ってきた傑作日常グルメミステリー!石持浅海の「Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス」

f:id:yuuri_hikari:20190904153733p:plain

今回紹介する作品は石持浅海さんの「Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス」です。

この作品は以前にもブログで紹介した「Rのつく月には気をつけよう」の続編となります。

sutekinayokan.hatenablog.com

世間話の中に隠れた何気ない謎を、予想を越える結末へと解き明かしていく傑作グルメミステリーは、2巻目となる今作も健在です。

私はこの作品が大好きで、続編が刊行されると聞いた時はとても嬉しくて興奮してしまいました!

今回は、石持浅海さんの「Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス」のブックレビューをお届けします。

【あらすじ】おなじみのメンバーで繰り広げられる宅飲みミステリー!

f:id:yuuri_hikari:20190904232559p:plain

夏美、長江、渚の3人は大学時代からの友人同士。

揃って酒好きということもあって、就職してからも機会を見つけては一緒に酒を飲んでいました。

夏美が結婚してからは、夫の健太も加わって4人で飲むのが恒例となり、その日の肴に合わせた最高の酒を楽しみます。

会話の中からふと記憶が蘇り夏美が思い出話に花を咲かせていると、その何気ない日常の中にミステリーが隠れていました……!

謎を解き明かすのは、美酒で目醒める名探偵・長江。
世間話はいつも思わぬ方向へ転がります。

美味しい料理とうまい酒に“謎解き”が絶妙なバランスで融合した、小粋な宅飲みミステリー小説の第2弾です!

【書評】期待通りの名台詞に感激……!

f:id:yuuri_hikari:20190904232610p:plain

「Rのつく月には気をつけよう」には名台詞があります。

気に入らないことがあるとき、渚は長江のことを揚子江(ようすこう)と呼ぶのですが、そのセリフがたまらなく癖になるのです。

悪魔に魂を売って頭脳を買ったと称される長江は、夏美の何気ない話からミステリーを見つけ出し、勝手に納得して結論付けます。

その飛躍した物言いが気にくわない渚のおなじみの一言。

「ちょっと、揚子江……どういうこと?」

このセリフをまた聞けた時は思わず「待ってました!」と拍手喝采してしまいました!笑

期待通りの展開に思わずニヤニヤ。
久しぶりに名台詞が何度も聞けて満足です!

一緒に飲みたくなるほど愛着の湧くキャラクター!

f:id:yuuri_hikari:20190904233457p:plain

この作品を読むと、「私もそこに呼んでくれ!」と思わず言いたくなるほど登場人物に愛着が湧きます。

阿吽の呼吸で料理を作り、楽しそうに酒を飲む4人の姿を見ていると、ただただ羨ましいの一言。

「Rのつく月には気をつけよう」の最大の魅力は、その愛すべきキャラクターです。

更には毎回最高の組み合わせの酒と肴を用意するものだから、お酒好きには堪りません!

一緒に飲みたい! 真似したくなる! そんな共感を産む作品です。

また、騙された! 叙述トリックも健在だったとは……!?

f:id:yuuri_hikari:20190904232631p:plain

読者の先入観や文章上の巧みな仕掛けによって、読者をミスリードへと誘う書き方を「叙述トリック」と言いますが、「Rのつく月には気をつけよう」はその要素がある作品です。

「叙述トリック」と書いてしまうだけである意味ネタバレになってしまうので詳しく書きませんが、読み終わった時に「また騙された……!」と誰もが思い、痛快な気持ちにさせてくれます。

実は1巻でも私は見事に騙されて悔しい思いをしたのですが、今作「賢者のグラス」でも騙されるとは思っておらず完全に油断していました。

この作品で描かれるのは日常の飲み会の風景のため、全くミステリーっぽくありません。
それにも関わらずしっかり「ミステリーを読んだ」という気持ちにさせてくれるのはさすがの一言。

人が死んだり巧妙なトリックがあったりする本格ミステリーではありませんが、ニヤリと笑えて痛快な謎解きが心地良い作品です。

もしお酒が好きでしたら間違いなく楽しめますよ。
とてもオススメです!

まとめ

「Rのつく月には気をつけよう 賢者のグラス」は、小粋な謎解きが癖になる日常グルメミステリーです。

この作品の最大の魅力は、夏美、長江、渚の愛すべきキャラクターで、飲み会の席で繰り広げられる会話がとにかく面白い!

「この飲み会に呼んでほしいな」と何度も思わされます。

癖になる名台詞を何度も聞くことができ、大変満足の第2巻でした!

孫の代まで続きを出してほしい名作です。