伊坂幸太郎の「残り全部バケーション」は伏線回収が痛快な裏稼業コンビの物語!

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今回紹介する本は、コミカルな会話と伏線回収が痛快な伊坂幸太郎さんの「残り全部バケーション」です。

この作品を読んで、伊坂さんは読者の期待を裏切らないと改めて認識させられました。

家族団欒の席で「実はお父さん、浮気をしていました」という1文から始まるこの作品は、物語がどのように転がっていくのか全く想像ができず、期待を膨らませてくれます。

物語の最初の1行だけで「面白い本に違いない!」と思わせる作品が他にどのくらいあるでしょうか。

今回は、伊坂ワールド炸裂の連作短編集「残り全部バケーション」のブックレビューをお届けします。

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羽海野チカ「ハチミツとクローバー」のコミックス未収録話が電子書籍で配信中!

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羽海野(うみの)チカさんの「ハチミツとクローバー(通称ハチクロ)」は、美術大学を舞台とした青春偶像劇で、未だにファンの多い作品です。

2000年に連載がスタートしたこの作品は、アニメ・映画・ドラマと幅広くメディア化もされ、長い間愛され続けてきました。

そんな中、先日発売された羽海野チカさんの最新作「3月のライオン14巻」の発売を記念して、ハチクロのコミックス未収録話が電子書籍で販売されたとのこと。

え、本当!? ハチクロファンの皆さんご存知でした?

実は私、羽海野チカさんの原画展に行くほどのファンだと公言しているくせに、先日忘年会で友人から教えてもらうまで知りませんでした……!

そんな訳で今回は「お前はもうファン失格だ」と言われそうですが、「ハチミツとクローバー」のコミックス未収録作品「やさしい風」と「君は僕の宝物」のブックレビューをお届けします。

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絲山秋子の「海の仙人」は孤独と愛情を描いた美しい恋愛小説

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今回は、孤独をテーマにした絲山秋子さんの恋愛小説「海の仙人」を紹介します。

“ファンタジー”という名を持つ役立たずの神様が登場する独特の世界観を持った中編小説です。

解釈が難しく好き嫌いも分かれそうな作品のため、書評記事を書くかどうか悩んだ本でもありました。

それでも紹介しようと決めたのは、この作品の美しい世界観を少しでも多くの方に知ってほしいと強く思ったからです。

芥川賞作家が絶妙な語り口で描く、悲しく美しい孤独の物語「海の仙人」のブックレビューをお届けします。

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金城一紀の「対話篇」は心に残る切なくも希望に満ちた物語!

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今回紹介する本は、金城一紀さんの3話からなる中編集「対話篇」です。

金城一紀さんといえば、本多孝好さんの大学時代の同級生であり、先日紹介したメディア化前提作品「dele(ディーリー)」のプロデュース及び脚本を担当した作家さん。

著書の「ゾンビーズシリーズ」で小説現代新人賞を受賞し、その後に発表した半自伝小説「GO(ゴー)」では直木賞に輝きました。

そんな映えある受賞歴を持つ作品の中で、私は「対話篇」がもっとも好きな作品です。

特に3話目の「花」は感動的で、読み終わった時にしみじみとした満足感が得られます。

今回は「いい本を読んだな」という気持ちにさせてくれる金城一紀さんの心に残る名作「対話篇」のブックレビューをお届けします。

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タイムスリップした青年が“未来の名曲”で音楽史を塗り替える!?五十嵐貴久の「1981年のスワンソング」

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久しぶりに読む前からワクワクする本に出会いました。

タイトルは五十嵐貴久さんの「1981年のスワンソング」。

2014年の現代社会から1981年の昭和モノクロ時代にタイムスリップしてしまった主人公が、未来に生まれた名曲をバンバン大ヒットさせてしまう物語です。

コミカルでサブカル要素満載なあらすじを見ただけでもう面白そう!

実際にレコードやCDを買い集めていた昭和世代には楽しめること間違いなしの作品です。

バブル前夜の1981年に「世界に一つだけの花」「TSUNAMI」は受け入れられるのか!?

今回は、ありそうでなかったタイムスリップエンターテイメント小説「1981年のスワンソング」のブックレビューをお届けします。

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羽海野チカの「3月のライオン」は心を揺さぶる優しい物語

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今回は私が1番好きな漫画である羽海野(うみの)チカさんの「3月のライオン」を紹介します。

私は読書が好きですが本に劣らず漫画も大好きで、今まで沢山の漫画を読んできました。

その中でも「3月のライオン」は10年以上愛読している大好きな作品です。

羽海野チカさんといえば、大学生活の恋愛や進路などで悩める若者達を描いた青春群像劇「ハチミツとクローバー(通称ハチクロ)」の著者として名が知れた漫画家。

「3月のライオン」はそのハチクロの次に描かれ、現在もヤングアニマルで連載されている「将棋」の世界を舞台にした作品です。

NHKでアニメ化され、神木隆之介が主演となり映画化もされたので、タイトルをご存知の方も多いのではないでしょうか。

傷付きながらも精一杯生きていることに勇気付けられ、思いやりのある言葉が胸にしみわたる心地よい作品です。

羽海野チカさんの温かい画風ともマッチした、心揺さぶる優しい物語「3月のライオン」のブックレビューをお届けします。

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天才と変態は紙一重だと気付かされるリリー・フランキーの名著「誰も知らない名言集」

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私が所有する数百冊の本の中で、もっとも異色であり、かつ振り切れている作品を紹介します。

それが、リリー・フランキーさんの「誰も知らない名言集」。

この本はリリーさんの周りに集まる変態たちが残した名言をたくさん収録した作品です。

人間研究家であり名言コレクターでもあるリリーさんが、名言が生まれた状況を面白おかしく解説してくれます。

放送禁止用語を使わずに果たして書評が書けるのだろうか……。
正直自信が持てないほど、下ネタに溢れています

「天才と変態は紙一重なんだ」と気付かされ、その異常さに感動すら覚える名言の数々。

今回はそんなリリー・フランキーさんの「誰も知らない名言集」のブックレビューをお届けします。

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中田永一の「吉祥寺の朝日奈くん」は多様性が面白い傑作短編集!

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中田永一さんの「吉祥寺の朝日奈くん」は2011年に映画化もされた作品で、書籍では5章からなる短編集として刊行されました。

それぞれの章が異なる内容の話ですが、表題作の「吉祥寺の朝日奈くん」だけでなく、他の4作品も主役級の面白さ!

今回書評の為に読み直しましたが、すっかりのめりこんでしまいました。

内容は「ミステリー要素の強い恋愛小説」ですが、青春あり、ユーモアあり、切なさありと多種多様な物語が詰め込まれており、続きが気になる展開のため読む手が止まらなくなります!

甘酸っぱい思い出がよみがえり、漠然と「青春ってなんかいいな」という気持ちにさせてくれる、読み心地がとても良い作品です。

青春を謳歌するのに理由なんていりません。

そして、本の世界では青春を何回でも体験することができます!

今回は、そんな甘酸っぱい青春や切ない恋愛模様を味わえる「吉祥寺の朝日奈くん」のブックレビューをお届けします。

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本多孝好の「dele(ディーリー)」はドラマ先行で作られた新しいミステリー小説!

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私は本屋で新刊を見かけたら必ず購入すると決めている作家が何人かいます。

その1人が本多孝好さんです。

2000年に「このミステリーがすごい!」のランキングにトップ10入りした「MISSING」を読んで好きになり、今まで出版された作品はすべて蔵書に入れています。

中でも好きな作品は「FINEDAYS」「MOMENT」「真夜中の5分前」などですが、どの作品も文章の雰囲気が独特で言い回しが面白く、著者名を伏せて読んだとしても本多孝好さんの本だと気付けるような作風です。

先日本屋に行ったところ、本多孝好さんの新刊が2巻同時に並べられていたので早速購入し、あっという間に読み終わりました。

この作品は山田孝之さん、菅田将暉さん主演のテレビドラマ「dele(ディーリー)」のオリジナル小説版で、ドラマの為に小説が作られるという通常のメディア化の流れとは逆の方法で作られた今までにないミステリー小説です。

今回は本多孝好さんの「dele」と「dele2」のブックレビューをお届けします。

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マイケルジャクソン著「モルトウイスキー・コンパニオン」はウイスキーのバイブル!

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何を隠そう私はウイスキーが大好きです。

中でもシングルモルトウイスキーには思い入れがあり、ちょっとした飲み屋に負けないくらい沢山のボトルを所有している程……!

シングルモルトとは大麦麦芽のみを使用して単一の蒸留所で作られるウイスキーのことを指しますが、産地や蒸留される方法によって味わいは様々。

種類も豊富で奥が深く、ハマると味わいだけでなく歴史や生産背景にまで興味を持つようになります。

そんな時に手引書としてオススメなのが、かの有名なスーパースターと同姓同名のウイスキー評論家マイケルジャクソン氏の名著「モルトウイスキー・コンパニオン」です。

これを読まずにシングルモルトを語ることはできません!

今回はウイスキー通の必読本である「モルトウイスキー・コンパニオン」を紹介します。

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【閉店】本棚専門店!ハミングバード・ブックシェルフに行ってきた!

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注意!

ハミングバードブックシェルフ日本橋店は2020年2月24日に閉店しました。

京都店または「オンラインショップ」(http://store.hummingbird-bookshelf.net/)は営業しております。

2018年9月に新しくオープンした日本橋高島屋S.C.(新館)に、本棚専門店ができたと聞いて気になっていました。

その名も、“HummingBird Bookshelf”ハミングバード・ブックシェルフ。
とってもおしゃれな店名です。

調べてみると鷗来堂(おうらいどう)さんが運営しているとのこと。

鷗来堂さんといえば神楽坂に本社を構え、かもめブックスという喫茶店とギャラリーを併設した書店を持つ、本業は“本の校正”をする会社。

代表である柳下さんは、「LOVE」をテーマにした本を“ホスト書店員”が接客をするコミュニティーブックスペース歌舞伎町ブックセンターのホスト書店長も勤めており、本好きの間では話題になったお方。

その鷗来堂さんが本棚専門店を作ったなんて聞いたら、やはりとっても気になります……!

なかなか訪問できずにおりましたが、念願叶って先日ようやく訪問することができ、お店の方に色々教えて頂きながらたくさん写真を撮らせてもらいました!

今回は、ハミングバード・ブックシェルフさんの訪問レポートをお届けします。

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じんわりと心温まる奥深い本!東直子の「とりつくしま」

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今回は、歌人であり作家でもある東直子さんの連作短編集「とりつくしま」を紹介します。

この本は5年くらい前に初めて読んだとき「いい本だったな」と感じ、著者の他の作品にも興味を持つきっかけとなったものの、「いい本止まり」で特筆すべき点はないという印象でした。

それが今回書評のために読み直してみると、以前読んだ時よりも心を鷲掴みにされ、しばらく胸に残るものがありました。

どうしてこんなにも受ける印象が変わったのか自分でも驚きましたが、ふと考えてみると1つ心当たりが……。

「とりつくしま」は「死」をテーマにした作品です。

5年前と現在での大きな違いといえば、結婚して子供ができたこと。
子を持つ親になったからこそ、「死」について、よりリアルに考えさせられたのかもしれません。

温かさあり、切なさあり、ユーモアあり。
更には悲しみや、恐ろしさもあって……。

なんとも心を揺さぶられる奥深い作品です。

私の好きな本ランキングを作ったら、間違いなく上位にランクインすること間違いなし!

今回はそんな「とりつくしま」のブックレビューをお届けします。

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