天才と変態は紙一重だと気付かされるリリー・フランキーの名著「誰も知らない名言集」

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私が所有する数百冊の本の中で、もっとも異色であり、かつ振り切れている作品を紹介します。

それが、リリー・フランキーさんの「誰も知らない名言集」。

この本はリリーさんの周りに集まる変態たちが残した名言をたくさん収録した作品です。

人間研究家であり名言コレクターでもあるリリーさんが、名言が生まれた状況を面白おかしく解説してくれます。

放送禁止用語を使わずに果たして書評が書けるのだろうか……。
正直自信が持てないほど、下ネタに溢れています

「天才と変態は紙一重なんだ」と気付かされ、その異常さに感動すら覚える名言の数々。

今回はそんなリリー・フランキーさんの「誰も知らない名言集」のブックレビューをお届けします。

とにかく下ネタで溢れた名言の数々!

「誰も知らない名言集」を一言で表すと下ネタの宝庫です。

内容の80%以上が下ネタで、残りの20%は常軌を逸した変態たちの目を背けたくなるような日常が描かれています。

「下ネタはちょっと……」という方が内容を知らずに読むと発狂してしまうかもしれません。
また、子供の目には決して触れさせてはいけないと強く感じます。

学校図書に選書されることもなければ、ビジネスシーンで役に立つこともない、とにかく下ネタで溢れた1冊です。

セクハラが社会問題として叫ばれる今日この頃。

ちょっとした猥談でコミュニケーションを取ろうなんて言語道断で、挨拶をすることにすら気を使わなくてはいけないこのご時世に、1ミリも寄り添わない下世話すぎる作品。

それが、「誰も知らない名言集」です。

ショートショートの短編集

この作品は、1話4〜5ページで構成された短編集ですが、前半1〜2ページ部分に前振りがあり、後半2〜3ページで名言が生まれた経緯が書かれます。

星新一さんのような1話完結の超短編ショートストーリーを全身全霊で下ネタに傾けたような作品です。

僅か数ページに詰め込まれた圧倒的な偏りのある情熱に、ある意味奥深さを感じます。

名言とは本心のかたまり

名言……。それは考えられたものではなく、荒削りのままため息と一緒に押し出された本心のかたまり

深夜に鍵をかけずコンビニまで買い物に出掛け家に戻ると、見知らぬオヤジが土足でベッドの上に座っており、戦慄しながらも問い詰めると「感動しているんだァ!!」と叫ばれた感動的な名言。

世の中の童貞の人数が激増しそうな「ヤル」という行為の新しい線引きを作った「中で出してないから、ヤッてない」という男らしい名言。

そんな誰も知らない宇宙の真理が詰め込まれた名言が39個も盛りだくさんで収録されています。

くだらなくて、下世話で、為になることなんて1つも書かれていませんが、面白すぎて何度も読み返しては笑ってしまう、人生の価値観が変わる錯覚すら覚える危険な作品です。

笑いを堪えきれない衝撃的な面白さ!

「誰も知らない名言集」を電車の中で読むのは危険です。

電車の中で読むだけで痴漢と間違われる恐れもありますが、何よりも面白すぎて笑いをこらえるのが大変!

リリーさんは下ネタ界のファンタジスタ、変態界のバロンドール(年間最優秀選手)であると私は考えておりますが、とても文才もあって爆発的に面白い文章を書きます。

著書の「東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン〜」では本屋大賞を受賞し、映画化やドラマ化もされ、ちゃんとした作家としても活躍しているリリーさん。

これだけの文章が書けるのはきっと勉強家である以前に頭も相当キレるはず……。

リリーさんの面白すぎる文章を読んでいると、自分がいかに凡人であるかを思い知らされると同時に「天才と変態は紙一重なんだ」ということに気付かされます。

よく、飲食業界で究極の料理人のことを肯定的な意味で「食の変態」と言いますがそれは正解ですね。
天才は変態なんです。

そして変態の周りには変態が集まります。

究極の料理人の周りには「食通」が集まりますし、随一の人間研究家のリリーさんの周りには「本物の変態」が集まるわけです。

そんな変態たちを対岸の火事を眺めるように楽しめるのがこの作品です。

本物の変態を間近で見るのは怖いけど、自分に火の粉がかからないところで眺める分には面白い。

私は普段電車の中で本を読むのですが、あまりに異常な人たちの名言に笑いを堪えきれませんでした。

笑いをこらえる状況がより笑いを呼んでしまうこともあるので、電車の中で読むのはお気をつけください。

「ドン引きする」か「大好きになるか」2つに1つ!

この作品を読んだ感想は「ドン引きする」「大好きになる」かの2つに1つしかありません。

それくらい振り切れた作品ですが、こんなに笑わせてくれる作品は他にはないため、私はこの本が大好きです。

私は下ネタが好きは訳ではなく、むしろ普段ほとんど口にしません。
そういうキャラではないと自覚しています。

ですが、これだけ潔く下ネタを書き連ねる本書を読むと、書評記事を書いて皆さんにも紹介したいと思わせるから不思議です。

リアルの世界ではなかなかオススメする勇気を持てませんが、インターネットならではの顔の見えない世界では、少しだけ自分をさらけ出すことができました。

「誰も知らない名言集」は、誰しもが隠し持っている下ネタへの渇望を度を超えて満たしてくれる、そんな作品です。

まとめ

「誰も知らない名言集」はジェットコースター級のドン引きするような下世話な話もあれば、お化け屋敷より恐ろしい変質者の話まであり、まさに下ネタのテーマパークのような作品です。

かなり読む人を選ぶ異色の作品ですが、ここまで笑わせてくれる本は他になく、たまに読みたくなるため手放せません。

堅苦しさは全くなくここぞとばかりに下ネタで、1話が4〜5ページであっという間に読めるため「本が嫌いな人」にこそオススメしたい作品です。

何も考えずにくだらない本が読みたい時は、ぜひ手に取ってみてください。

「面白いからなんでもいいや」と思わせてくれる、笑いこそ正義な名言集です。