心がすっと軽くなる!「料理」や「お酒」がキーワードのオススメ絶品グルメ小説8選!

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今回は、私が大好きな「料理」や「お酒」がキーワードとなっているオススメ作品を紹介します。

「料理」や「お酒」がキーワードと言っても、食レポをするただの“グルメ小説”ではなく、テーマとしたのはあくまで“癒し”や“成長”が描かれる「人間ドラマ」です。

人が生きていく上で食事は欠かせませんし、お酒は古くから冠婚葬祭に使われるほど人間の生活に密着したものでした。

つらい出来事があっても美味しいご飯とうまい酒があれば大丈夫!
そう思わせてくれる作品が私は好きです。

今回は、「料理」や「お酒」がキーワードとなっている“心温まるグルメ小説”8冊のブックレビューをお届けします。

本の中に愛が見えるハートフルストーリー!成田名璃子の「東京すみっこごはん」

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商店街の裏道にひっそりと佇む古ぼけた一軒家「すみっこごはん」。

そこは、年齢も職業も異なる人々が集い手作り料理を共に食べる“共同台所”でした。

いじめに悩む女子高生、婚活に落ち込むOL、妻を無くした頑固な老人……。

ワケありの人たちが巻き起こすドラマを通じて明らかになる“すみっこごはん”の秘密とは!?

美味しい家庭料理と人々の温かな交流が心を解きほぐす連作短編シリーズです!

優しさが染み渡り心が温かくなる愛情に満ちた物語!

今回のまとめ記事でもっとも皆様にオススメしたい作品が「東京すみっこごはん」です。

「料理」がキーワードと言えば、1番に紹介したくなるほど思い入れがあります。

“グルメ小説”とは少しジャンルが異なり、描かれるのは「料理」を通じて育っていく“愛情”と“成長”です。

本の中で愛が見えるように優しさで溢れており、心が温かくなります。

「泣ける本」のまとめ記事でも紹介しましたが、こんなにも愛に溢れた作品にはなかなか巡り会えません。

2019年8月現在では第4巻まで刊行されている連作短編シリーズですが、この夏「乃木坂文庫」の1冊にも選ばれました!

読むと家庭料理が食べたくなって、心が解きほぐされる1冊です。

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原田マハの「まぐだら屋のマリア」は生きる希望を取り戻していく再生の物語!

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神楽坂の老舗料亭で修行を積んでいた主人公の紫紋(シモン)は、料亭での偽装事件をきっかけに夢や仲間を失い、現実から逃げ出します。

知り合いが一人もいない場所に行きたい……そこで人生を終わらせよう。

そんな思いで遠くへ遠くへとさまよい続けた紫紋が辿り着いたのは、「まぐだら屋」という名の定食屋でした。

紫紋はそこで食堂を切り盛りしているマリアという女性に出会います。

成り行きからまぐだら屋で働くことになった紫紋は、料理を通じて人の役に立つことで自身が癒され、どん底から生き直す勇気を得ていきます。

様々な出会いの中で人を思いやり、生きる希望を取り戻していく再生の物語です。

料理を通じて癒されていく姿に感動して涙が止まらない作品!

「泣ける本」のつながりでもう1冊……!

「東京すみっこごはん」と同様に「泣ける本」のまとめ記事でも紹介したのですが、「料理」がキーワードの本でこの作品を選ばない訳にはいきません!

「まぐだら屋のマリア」を読んで、主人公の紫紋が「料理」を通じて生きる意味を取り戻していく姿に、これでもかというほど泣いたことを覚えています。

この作品を読むと、深い愛情に包まれ、自分自身が赦された気持ちになるのです。

誰かのためを思って作る料理は温かく、人を思いやることで自身が癒されていきます。

食事の大切さや近くにいる人への思いやりなど、生きていく上で当たり前のことを思い出させてくれる作品です。

誰にでも帰る場所があって、いつでも自分の味方でいてくれている人がいます。

心がすっと軽くなる……、まさに「料理」によって癒される作品です。

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原田マハの「風のマジム」は本当にあったサクセス・ストーリー!

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「風のマジム」は、実話を元に作られたサクセス・ストーリーです。

派遣社員のまじむは、琉球アイコム沖縄支店総務部勤務の28歳。
自分が何をすべきかわからずに漠然と日々を送っていました。

そんな彼女の運命を突然変えたのは、社内ベンチャー募集の告知。

まじむは純沖縄産のサトウキビを使用してラム酒を造るという事業を提案します。

「風の酒を造りたい」

その想いと持ち前の体当たり精神で、成功は無理と正社員に蔑まれながらも夢を実現させていきます。

派遣社員が女社長になるまでを描いた、本当にあった夢物語です。

ラム酒がたまらなく飲みたくなる!

原田マハさんの作品でもう1冊紹介したいのがこの作品!

「風のマジム」を読むと、とにかくラム酒が飲みたくなります。

それもただのラム酒ではなく、飲みたくなるのはこの物語で登場するアグリコールラムです!

ラム酒はサトウキビから造られるお酒ですが、通常は砂糖を搾り取った後の廃糖蜜(はいとうみつ)が利用されます。

ちなみにこの製法で造られたラムをインダストリアルラム(工業生産ラム)と言います。

一方、アグリコールラム(農業生産ラム)は、ラム酒を造るためにサトウキビが育てられ、その恵みは100%ラム酒のために使われる贅沢なラムです。

私はこの本を読んで、物語の舞台となった南大東島のアグリコールラム「コルコル」を通販で取り寄せたほど感銘を受けました。

味わい深く、まさに「風の酒」と謳われる逸品です!

「風のマジム」は、派遣社員が社内ベンチャーによって女社長になるまでを描いた実話を元に作られており、「お酒」がキーワードであると同時に、「仕事」も重要なテーマとなっています。

仕事で疲れた時に、お酒を飲みながらじっくり読みたい物語です。

石持浅海の「Rのつく月には気をつけよう」は傑作日常ミステリー!

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大学の頃からの友人である夏美(なつみ)と長江(ながえ)と熊井(くまい)の3人は飲み仲間。

毎回誰かが連れてくるゲストを交えた4人で囲む宴会の席は、いつも長江が住む独身一人暮らしのワンルームマンションで行われます。

そんな飲み会で堪能するのは基本的に1酒1品のみ。

食品会社に勤めグルメにも詳しい熊井が酒を調達し、頭脳明晰で気の利く長江が肴を用意して、その都度最高の組み合わせの酒と肴を楽しみます。

酔いもまわり口も軽くなったところで盛り上がるのは、なんと言っても恋愛話。

ゲストの何気ない日常会話や恋愛トークの中にミステリーが隠れています。
そして、話は思いもよらない展開へ……。

“グルメ”“謎解き”が絶妙なバランスで融合した、小粋なミステリー小説です。

お酒好きには堪らない!小粋な謎解きグルメミステリー! 

私はお酒が大好きで家にもたくさんのボトルを所有しているのですが、「Rのつく月には気をつけよう」ほどお酒と読書を楽しめる作品はありません!

長江が用意する肴に合わせた熊井のお酒のチョイスが絶妙で、「あぁ、これは絶対に美味しいに違いない……!」とひとり呟いてしまうほどです。

「生牡蠣×ボウモア12年」「豚の角煮×泡盛」「チーズフォンデュ×シャルドネ白ワイン」など、最高の組み合わせで味わう料理とお酒のマリアージュ……!

そんなのんべぇ気分を味わっていると、何気ない恋愛話からミステリーが炸裂していき、これがまた非常に面白い!

会話に華があるミステリーは読んでいて楽しいですね。

お酒が好きな方にオススメしたい、グルメでハートフルでミステリーな1冊です!

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原田ひ香の「ランチ酒」は、心の空腹を満たす絶品グルメ小説!

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バツイチ、アラサーの犬森祥子(いぬもりしょうこ)の職業は「見守り屋」。
訳ありの客から依頼が入ると、人やペットを夜から朝まで寝ずの番で見守ります。

そんな祥子の唯一の贅沢は、仕事帰りに楽しむランチとお酒。

街で出会った美味しい料理とうまい酒に、夜勤明けの疲れを吹き飛ばします。

別れた夫のもとで暮らす愛する娘となかなか会えず、なんとも言えない寂しさを抱えながら過ごす日々。

仕事で出会った孤独を抱えて生きる客に思いを馳せ、娘の幸せを祈りながらひとりで楽しむ晩酌ならぬ「ランチ酒」。

珠玉の人間ドラマと心の空腹を満たす絶品グルメ小説です。

ただのグルメ小説ではなく、哀愁漂う人間ドラマが描かれる!

「ランチ酒」は偶然本屋で見かけて、美味しそうなイラストに惹かれて購入した作品なのですが、これが大正解でした!

祥子の食べっぷりはとにかく美味しそうで、読んでいると思わず食べたくなります。

また、この作品はただお酒を飲んでご飯を食べるだけの小説ではありません。

“見守り屋”という少し変わった仕事をして働く祥子と、その顧客が抱える“疲れ”“孤独”が絶妙な距離感で描かれます。

ワケありの客たちと過ごす時間が徐々に彼女を変えていき、疲れた体と心を癒すランチ酒に酔いしれる。

疲れた心にじーんと沁み渡ります。

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心に美味しい人生応援小説!中澤日菜子の「お願いおむらいす」

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“ぐるめフェスタ”略称“ぐるフェス”は、年に2回、春と秋に東京郊外の広大な公園の一角を借りて開かれます。

世界各国の料理の屋台が集い、子供が喜びそうなミニ遊園地や、アイドルによるライブパフォーマンス、さらには食べ疲れた人のためのマッサージブースまでが巨大な園内に用意された“食”のテーマパークです。

そんな“ぐるフェス”に集う人々の人生模様を描いたこの作品は、心がほっと温まる5編からなる連作短編集。

家族、健康、将来、結婚、仕事、介護……。
人それぞれ悩みはつきないけれど、美味しいものを食べて元気を出そう!

苦しみながら自分の居場所を探していく、人生応援小説です。

料理は人を幸せにする「ちから」があることに気付かせてくれる!

“ぐるフェス”という一見楽しそうなイベントに集う人々は、人知れず悩みや葛藤を抱えながらも必死で生きています。

どんなに頑張っていても、時には思い通りにならない人生に嫌気がさしてしまうことも……。

そんな中、料理は人を幸せにする「ちから」があることに改めて気付かせてくれます。

誰かが作ってくれた料理の温かさ、大切な人と一緒に食べる幸せな食卓、元気になって欲しいと願い料理する気持ち。

美味しい料理は人を癒し、活力を与えてくれます。

しかしながら、第4章に登場する「ミュータントおじや」には度肝を抜かされました……!

「煮れば大抵のものは食べられる」というコンセプトで生まれた“おじや”の創作風景は一見の価値がありますね(笑)。

ちなみに、著書である中澤日菜子さんは調布市在住の作家さん。

私は調布が大好きで10年近く住んでいるため、とても親近感が湧いてしまいました。

他の著書も読みながら、陰ながら応援しております!

有川浩の「植物図鑑」はとびきり美味しい“道草”恋愛小説!

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「お嬢さん、よかったら俺を拾ってくれませんか」

終電ギリギリの飲み会帰り、マンションのポーチに近付いたとき、さやかは行き倒れの男を見つけます。

「躾のできたよい子です」

思わず拾ってしまったイケメンは、家事万能のスーパー家政夫のうえ、重度の植物オタクでした。

樹(いつき)という名前しか知らぬまま、大胆にも同居生活を持ちかけたさやか。

植物オタクの彼に教わりながら、週末ごとに近所で食べられる野草の「狩り」に出掛け、収穫した植物を調理して2人で味わうちょっと変わった生活が始まります。

好きになってしまった男との生活に、さやかは掛け替えのない幸せを感じ始めるのですが……。

とびきり美味しい(ちょっぴりほろ苦)“道草”恋愛小説です!

ライトで、マニアックで、メルヘンな有川さんらしい作品!

私は有川さんの作品の中で「植物図鑑」が1番好きです。

読み口が軽くて、少しマニアックで、乙女チックなところなど有川作品の良さが随所に現れており、少女漫画をこっそりと読んでいるような気持ちにさせてくれます。

飲み会の帰りに行き倒れの男を拾ってきて同棲までしてしまうトンデモストーリーなのですが、物語をすんなりと受け入れてしまうのは有川さんの文章ならでは……!

もちろん「イケメンに限る!」かもしれませんが、胸キュン必須のほろ苦恋愛小説です。

誰かが作ってくれたご飯を一緒に食べる幸せ。

季節を感じながら自分で収穫したものを味わう料理に癒されます。

七月隆文の「ケーキ王子の名推理(スペシャリテ)」は激甘恋愛スイーツ小説!

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バカがつくほどケーキが大好きな女子高生・美羽(みう)は、失恋の哀しみを癒すために自由が丘のケーキ屋を訪れます。

そこで出会ったのは、パティシエの修行をしてる学校一のイケメン・颯斗(はやと)。

新しい恋の始まりかと思いきや、彼は「冷酷王子」というあだ名に違わず噂通り女子に超冷たい!

言い寄ってくる女子には目もくれず、世界一のパティシエになる夢に向かってひた走っていました。

そんな青春真っ只中に巻き起こる他人のトラブルも、お菓子の知識で鮮やかに解決!

ケーキを愛する2人の激甘恋愛スイーツ小説です!

これぞ“恋愛スイーツ小説”の金字塔!

そもそも、そんなジャンルが存在するのかわかりませんが、この作品をもっとも適切に表している言葉が「恋愛スイーツ小説」です。

決して、「恋愛ばかりしていると脳や精神が破壊されて思考能力がおかしくなる」といった、揶揄や皮肉を込めている訳ではありません。

ドキドキ胸キュン具合が最高で、読むほどに癖になってしまうのです。

ケーキのようにふわふわで甘いお花畑のような恋愛小説を、この歳になって心地良く思ってしまうなんて……!
しかも4巻目までくるともはや憤死レベルです!

ロマンスが有り余る青春爆発で、アラフォーの私でさえ胸キュンしてしまうほど破壊力!

たまにこういう作品を読むと気分転換になりますね。

第5巻も“恋愛スイーツ脳”を鍛えて、楽しみに待っています。
読むほどに好きになった作品です!

まとめ

今回は、「料理」や「お酒」がキーワードとなるオススメの絶品グルメ小説を8つ紹介しました。

私がこのジャンルの作品を好きなのは、「料理」や「お酒」といった身近な日常の中にこそドラマが溢れているからです。

身近だからこそ共感を覚え、本をより深く楽しむことができます。

今回紹介しきれなかった作品も沢山ありますので、随時更新していく予定です。

「料理」や「お酒」がキーワードのグルメ小説の情報も探しておりますので「この本こそは!」という作品がありましたら是非教えてください!

今回紹介した本の感想やコメントなどもお待ちしております!

このほかにも、「笑える本」のまとめ記事も書いておりますので、よろしければそちらもご覧ください。

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