コロナウイルスの影響で外出自粛が続き、仕事もプライベートも窮屈な生活に疲れが溜まる日々……。
そんな時は、気分転換に本を読んでみてはいかがでしょうか。
読書は外出せずにできる旅のようなもの。
本の世界に没頭すると日常の憂いを忘れられます。
今回は、自粛続きで先行きが見えないこんな時だからこそ読んで欲しいスッキリ爽快な小説や、心がホッと温まる物語を9つ選びました。
普段あまり本を読まない人にも読みやすい、堅苦しくない作品ばかりです。
本を読んで、コロナ疲れを吹き飛ばしましょう!
疲れた時はスッキリ爽快な元気が出る本を!
息苦しい生活に疲れたときは小難しい自己啓発本を読むよりも、楽しくてスカッとする小説がオススメです。
読みやすい本を選べば、疲れた時でも物語に引き込まれ、日常を忘れることができます。
痛快な作品は、きっと日常生活にも活力を与えてくれるはず……!
まずはじめに、読みやすくて爽快な小説を4作品紹介します。
「フライ,ダディ,フライ」金城一紀
「フライ,ダディ,フライ」は、オチコボレ男子高校生たちが織りなす青春譚“ザ・ゾンビーズ・シリーズ”の第2弾です。
全4巻からなるシリーズ物ではありますが、本作は独立して完結しているので単独で読んでも楽しめます。
本作では、47歳の冴えない平凡なサラリーマンが、不良高校生に傷つけられた娘の為に体を鍛えて立ち向かう、疾走感溢れる爽快な青春物語です。
非常に読みやすく、キャラクターにも愛着が湧くので、読書が苦手な方にこそオススメ!
ちなみに、2005年に岡田准一さん・堤真一さん主演で映画化もされ、その際の主題歌はMr.Childrenの「ランニングハイ」が採用されました。
“生き絶えるまで駆けてみよう 恥をまき散らして”という歌詞が、この作品の世界観をよく表しています。
ミスチル好きの方にも是非ともオススメしたい作品ですね。
主人公はサラリーマンですがお仕事小説ではなく熱い青春物語なので、若い世代にも親しみやすいですよ。
私はかれこれ10年以上の間に何度も読み直していますが、いつ読んでも元気が出ます。
疲れを吹き飛ばすのにぴったりの作品です!
「さよならドビュッシー」中山七里
「さよならドビュッシー」は中山七里さんの代表作で、第8回“このミス大賞”を受賞した作品です。
最近では「medium 霊媒探偵城塚翡翠」が“このミス大賞”を受賞し、そのトリックのあまりの見事さに話題になりました。
もはや、“このミス大賞”というだけで、信頼の作品と言えるのではないでしょうか。
「さよならドビュッシー」は、ピアニストを目指す主人公がコンクール優勝を目指して猛特訓する最中に事件が起きる、スポ根ならぬ音楽根性ミステリー!
これがまた、本当に面白いのです!
「ミステリーで、音楽で、なぜスポ根!?」という言葉が聞こえてきそうですが、その全ての要素がこの1冊に閉じ込められています。
主人公の16歳の少女が火事にあい、全身に大火傷を負うところから物語が動き出すのですが、何があっても諦めずにピアニストになることを固く誓い猛レッスンに励む姿はまさにスポ根そのもの!
そんな中、周囲で不吉な出来事が次々と起こり、やがて殺人事件が発生する本格ミステリーの要素もバッチリです。
結末は爽快の一言で、最後の一文でタイトルの謎も解けます。
「さよならドビュッシー」は、本格ミステリー好きにもオススメな拍手喝采の一冊です。
「砂漠」伊坂幸太郎
超人気作家である伊坂幸太郎さんの作品は意外と賛否両論が分かれますが、「砂漠」は最も意見が分かれる作品かもしれません。
アマゾンのレビューでも「伊坂作品唯一の駄作」という評価を下している人が何人もいます。
今回の記事で紹介するのは少し微妙かと思いつつ、それでも外すことができませんでした。
なぜなら、私にとってやはりこの作品は痺れるほどに痛快で強く印象に残っているから。
ボウリング、合コン、麻雀といった大学生活のダラダラとした日常、平凡で活躍しない主人公、癖のある登場人物、盛り上がりの少ない展開、リアリティがありそうでない世界観。
物語の要点をかいつまんで挙げるといかにも微妙な作品に見えますが、そこには学生時代の楽しかった思い出を噛みしめるような、自らの未熟さを思い返すような青春が詰まっているのです。
この作品で最も癖のある登場人物である西嶋というキャラクターは、大体の人は初見では好きになれないはず。
しかし、それがいつの間にか癖になり、最後には「いいキャラだったな」と好きになってしまいます。
いつの間にか好きになってしまうこの不思議な世界観は一体どこからくるのでしょうか。
爽快感溢れる青春小説と絶賛するか、伊坂作品唯一の駄作と卑下するか、ぜひ博打に挑むつもりで読んで欲しい作品です。
「三匹のおっさん」有川浩
他に爽快な小説があったかなとインターネットで検索したところHITしたのがこの作品。
確かにこの作品の清々しさは忘れてはいけません!
ということで、紹介するのが有川浩さんの「三匹のおっさん」です。
還暦を迎えたかつての悪ガキ3人組のおっさんが、街の平和を守る為に自警団を結成し、ご近所に潜む悪を斬る!という単純明快で痛快な活劇シリーズ。
有川浩さんの作品らしく、誰が読んでも読みやすく、堅苦しさも一切ナシ!
老若男女すべての人にオススメの作品です。
今は亡き児玉清さんがあとがきに本作の紹介文を書いているのですが、その一文に「情が湧いてくる、家族の輪が繋がっていく」という文章があります。
まさにその表現がこの作品の良さを表していますね。
爽快なだけでなく、温かい気持ちにもなれるいい本です。
ホッと心が温まる本で心身共にリラックス!
心が温まる本を読むと、いびつに尖った心が休まります。
気持ちが穏やかになれば、きっと体の力も抜けるはず。
後半は、思わずホッとするような優しい作品を4つ紹介します。
こちらも読みやすい作品を中心に選びました!
「マカン・マラン」古内一絵
「マカン・マラン」は、全4巻からなるシリーズ物。
ドラァグクイーンのシャールが贈る、じんわりほっくり心が温かくなる夜食カフェのお話です。
元エリートサラリーマンにして今は派手な女装を身にまとうシャールが、夜だけ開店するお店「マカン・マラン」。
そこで提供される料理には優しさが溶け込んでいて、訪れた人の疲れた心をほぐします。
私がこの本と出会ったのは2020年3月に始まった御書印プロジェクトがきっかけ。
御書印とは簡単に説明すると寺院でもらう御朱印の本屋版です。
日暮里にある「パン屋の本屋」の御書印が、「マカン・マラン」の「足りなければ満たせばいい 空っぽなら埋めればいい」という一節で、その言葉が気に入ったので本も一緒に買って帰りました。
早速読んだところ、ちょうど仕事で疲れ果てていたこともありますが、シャールの優しさに心がほぐれ、胸がじんと温かくなりました。
すごく気に入ったので続編も読もうと探したところ売切で見つからず……。
インターネットを駆使しても品切状態。
ようやく2巻目が手に入りましたが、人気の理由も頷けます。
ここ最近読んだ中でも頭一つ抜き出すいい本なので、皆さんにも是非オススメしたいです。
「東京すみっこごはん」成田名璃子
心がホッと温まる小説といえば「東京すみっこごはん」を紹介しない訳にはいきません!
もうブログでも何度も紹介していますが、家族の愛、そして家庭料理の温かさが胸に沁みる優しい物語です。
商店街の脇道に佇む古ぼけた一軒家“すみっこごはん”。
そこは、年齢も職業も異なる人々が集い、手作り料理を共に食べる共同台所。
イジメに悩む女子高生、婚活に悩むOL、はたまた人生を見失ったタイ人など、訳ありの人々がすみっこごはんで巻き起こす人間ドラマにそっと涙が溢れます。
じんわりと温かく、私はこの本を読んで何度も泣きました。
登場人物がまるで自分の家族のように思えてしまい、物語を読み終えても放っておけないほど親しみを感じます。
私の大好きな作品です。
「君にさよならを言わない」七月隆文
七月隆文さんの代表作といえば「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」が有名で私も好きな作品ですが、「君にさよならを言わない」もイチオシです。
“このミス”で有名な宝島社(一般文芸)から出版されていますが、ラノベ感満載で、その軽さが何よりのウリ!
本作は現在第2巻まで刊行されていますが、シリーズを通して登場する妹が可愛すぎて悶絶します。
もはや、この兄と妹の掛け合いが見たいが為に読んでいると言っても過言ではないほど……!
主人公である高校生の明(あきら)は 事故がきっかけで幽霊が見えるようになり、6年前に亡くなった初恋の幼馴染、桃香(ももか)と再会します。
ある未練を残してこの世に留まっていた桃香の魂を救うため、明は6年前に交わしたふたりの約束を果たすのですが……。
読み口の軽さに油断していると、切なくて、温かい。
胸に沁みる作品です。
「優しい死神の飼い方」知念実希人
現役の医師でもある知念実希人さんの著書は、“医療”をキーワードにした作品が多いですが、本作「優しい死神の飼い方」も医療現場を舞台とした連作ミステリー小説です。
自らを高貴な存在だと疑わない死神が、主(あるじ)の命により犬の姿に封じられ、人間を救う役目を課されます。
犬の姿を借り、地上のホスピスに左遷された死神は、死に直面する人間を未練から救う為に患者たちの過去の謎を解き明かし奮闘していきますが、彼の行動がホスピスに思わぬ危機を引き起こしていくことに……。
天然キャラの死神と人間との交流を描いた、心温まるハートフルミステリーです。
2020年の本屋大賞にノミネートされた「ムゲンのi」と少し設定が似ていますが、混沌とした世界観はなくタイトルの通り“優しい”物語であることが本作の特徴。
ユーモアあり、ファンタジーあり、ミステリーありとバランス良く仕上がっており、普段本を読まない人にも親しみやすい作品です。
知念さんの作品は分厚い本が多いですが、あっという間に読めてしまいますよ。
犬好きの方にもオススメの一冊です。
「旅猫リポート」有川浩
犬好きの方にオススメの本があれば、猫好きの方にオススメの本もあります。
有川浩さんの「旅猫リポート」は、人と猫の永遠の絆を描いたロードノベルです。
野良猫だったナナと飼い主のサトルが暮らし始めて5年が経ったころ、ある事情からサトルはナナを手放すことに。
新しい飼い主を探すため、銀色のワゴンに乗って旧友を訪ねて巡る旅に出ます。
懐かしい人々や美しい風景に出会い、徐々に明かされるサトルの秘密。
果たしてサトルとナナの運命は……。
「旅猫リポート」は映画化されただけでなく、絵本版や青い鳥文庫版などのジュブナイル小説としても刊行されています。
また、海外からの評価も高く、今までに16カ国で翻訳もされた(ちなみに英訳は村上春樹さんが担当)、世界に羽ばたくヒット作です。
一匹と一人の友情を描いた優しさに満ちた旅物語は、世界中で愛され続けています。
まとめ
今回は、外出できないこんな時だからこそ読みたい爽快な本・心温まる本を9冊選んで紹介しました。
読書は自宅でできる気分転換には持ってこいの媒体です。
普段なかなか時間が取れず読書を諦めている方でも、この機会に本の旅を楽しんでみてはいかがでしょうか。
コロナウイルスで世界中が大変なことになっていますが、ステイホームで読書をして、コロナ疲れを吹き飛ばしましょう!
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