時間が過ぎるのはあっという間で、気付けば年末……!
2021年も残すところあと僅かとなりました。
今年はとにかく忙しく、久しぶりの投稿になってしまいましたが「最後にこの企画だけは……!」とキーボードを叩いています。
ということで今回は「2021年に読んで良かった本・小説」を紹介します。
2021年以外に刊行された作品から選んだ番外編も合わせてどうぞ!
- 「invert(インヴァート)」相沢沙呼
- 「ランチ酒 今日もまんぷく」原田ひ香
- 「スモールワールズ」一穂ミチ
- 「みとりねこ」有川ひろ
- 「ほろよい読書」織守きょうや・坂井希久子・額賀澪・原田ひ香・柚木麻子
- 番外編(2021年以外の本)
- まとめ
「invert(インヴァート)」相沢沙呼
まず最初に紹介するのは、相沢沙呼さんのモンスター小説「invert(インヴァート)」です。
2020年にミステリ界を震撼させた「medium 霊媒探偵城塚翡翠」のまさかの続編で、刊行自体がどんでん返しと言っても過言ではない超絶ミステリです。
未読の方は今すぐに本屋に走って「medium」から読んでみてください!
ちなみに私は刊行当日に有給休暇を取得して、すべての予定を切り上げて最優先にして読みました。
主人公の翡翠ちゃんが一体どんな顔して登場するのだろうと気になって気になって……!
何十年も本を読んできましたが小説のキャラクターにこれだけ魅了されたのは初めてです。
未読の方は騙されたと思って是非読んでみてください!
きっと騙されますよ!
「ランチ酒 今日もまんぷく」原田ひ香
次に紹介するのは私の大好きな小説の第3段「ランチ酒 今日もまんぷく」です。
(リンクがうまく貼れず、1巻目の「ランチ酒」になっています)
この作品は、我ら飲んべえの代表である原田ひ香さん(失礼……!スミマセン……!笑)が描く人情グルメ酒飲み小説(これも失礼か……!?)です。
ワケあり客を寝ずの番で見守るバツイチ、アラサーの祥子の生きがいは、夜勤明けに楽しむランチとお酒。
仕事の疲れを癒しながら、これからの人生に思いを巡らします。
哀愁漂うストーリーに寄り添うランチ酒がなんとも言えない味わいの小説です。
「おいしい!」が生きる力になる、心の空腹を満たす絶品グルメ小説です。
「スモールワールズ」一穂ミチ
今まで一穂(いちほ)ミチさんの本を読んだことがありませんでしたが、Twitterで話題になっていたので手に取ったのが「スモールワールズ」です。
書店でも注目度が高く、おすすめコーナーに置いてありました!
第74回日本推理作家協会賞短編部門候補作「ピクニック」が収録された全6編からなる連作小説ですが、内容はバラエティに富んでいます。
ままならない現実を抱えて生きる人たちを描いた6つの物語は、やるせなく、不自由で、どこか愛おしい。
私は「魔王の帰還」という話が特に好きですが、どの作品も印象的で心の深くに染み込んでいきました。
その余韻は感動的であり、爽快さもあり、そして怖さもあり……。
喜怒哀楽が詰まった珠玉の連作短編集です。
「みとりねこ」有川ひろ
有川ひろさんの「みとりねこ」は7匹の猫の物語です。
感動の名作「旅猫リポート」の続編にあたる「外伝」も2編収録されています。
前作を読んだことがある方ならお分かりいただけると思いますが、この作品は涙なくしては読み進められません!
特に「旅猫リポート外伝」の2編ではハチとナナに再び出会うことができ「懐かしいな」と読み始めて即号泣!
それだけで大満足です。
有限の時の中に描かれる人と猫の出会いと別れ。永遠の絆。
温かくやさしい気持ちが胸を包む、猫とあなたの7編の物語です。
「ほろよい読書」織守きょうや・坂井希久子・額賀澪・原田ひ香・柚木麻子
「ほろよい読書」は5人の作家さんが名を連ねる“お酒”がテーマのアンソロジーです。
私はお酒が好きなので、“お酒”がテーマの本を見るとつい買ってしまいますね。
今回は初めて読む作家さんが多かったですが、著者欄に原田ひ香さんが入っていれば間違いないだろうと即購入!
そして、大正解!
これが想像以上に面白く、一編一編ほろ酔い気分を味わえる素敵な短編集でした!
どの作品も良かったですが、額賀澪(ぬかがみお)さんの「醸造学科の宇一くん」の話が特にイチオシ!
“お酒”をテーマにしていながら大人と子供のはざまを駆け巡る「青春」の風が感じられて爽快です。
好きな作家が増えました!
お酒のお供にぜひ!
番外編(2021年以外の本)
ここまで2021年に刊行された本の中から「今年読んで良かった本」を紹介しました。
ここからは番外編として、2021年より以前に刊行された本の中から、私が今年初めて読んで特に印象に残っている作品を紹介します。
2021年発売の新刊ではありませんが、読んで良かった3冊です!
「教室に並んだ背表紙」相沢沙呼
この作品は2020年12月10日に刊行され、私は2021年1月に読んだのですが、読み終わった瞬間に「今年読んだ本のベスト1になるかも……!?」と思わせる程とてもいい本でした。
年の瀬になって改めて「この本が今年のベスト1」だと思います。
著者は「invert」の相沢沙呼さんですが、その多彩さに心底驚かされます。
並大抵のミステリ作家ではありませんね。
この作品は、図書室を舞台に“読書”を通じて変わっていく少女たちの心模様を描く、6編の連作短編集です。
「本が好き」という気持ちに応えてくれる物語に私は共感の嵐でした。
読み口は非常に軽く、親しみやすい文章の中に、読書の醍醐味が詰まっています。
この作品の主人公たちのように、本が嫌いな中学生にぜひ読んでもらいたい作品です!
「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」町田その子
「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」は2017年に新潮社から刊行され、2021年に文庫化された作品です。
著者である町田その子さんといえば、2021年に本屋大賞を受賞した「52ヘルツのクジラたち」が有名ですね。
“虐待”という重たいテーマの作品ですが、思いのほか読み口は軽く愛情を感じる温かい物語です。
「52ヘルツのクジラたち」も非常に良い作品ですが、私は「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」を推します。
何と言っても構成力が素晴らしく、一冊を通じてこの本が持つテーマやメッセージがわかりやすく伝わってくるからです。
描かれるのは「未来への希望」や「自由への渇望」といった“今ここにないもの”で、人と人が繋がり助け合うことで、生きていく強さや優しさ、そして救いを感じます。
連作短編集として読むごとに拡がりをみせていく、非常に良くできた作品です。
未読の方はぜひ!
「お探し物は図書室まで」青山美智子
最後に紹介するのは青山美智子さんの「お探し物は図書室まで」です。
この作品は2020年11月に刊行され、2021年の本屋大賞第2位に選ばれました。
5章からなる連作短編集で、じんわりと感動する心温かい作品です。
物語の舞台は、とある街のコミュニティハウスにある小さな図書室。
そこで司書として働く“小町さん”がこの物語のキーマンです。
脳内変換では完全にマツコデラックスさんの姿が思い浮かびますが、この司書が只者ではありません。
仕事に悩み、行き詰まった人々が探し求める本を、思いもよらない角度からレファレンスし、道しるべを示します。
あなたは自分のことを理解してくれる物語に出会ったことがありますか?
この図書室では、人生の羅針盤のような、困った時のお守りのような、ものすごく温かくて優しい本に出会えます。
まとめ
今回は、2021年に刊行された本の中から「読んで良かった本・小説」を8つお届けしました。
久しぶりの投稿になりましたが、やはり本はいいですね。
パラパラと読み直すだけでも泣いたり笑ったりできました。
今年1年間ブログを読んで頂きありがとうございます。
だいぶサボってしまいましたが、来年は新しいことも交えつつ更新を続ける予定です!
引き続き「ホンダナ!」を宜しくお願いいたします!