この本のPOINT！
仕事に悩む人たちに勇気を与えるスカッと爽快な人生応援ストーリー！
親しみのある文章が読みやすく、しんみりと泣ける！
ブラック企業に勤めている方に読んでほしい！
今回紹介する作品は、北川恵海（きたがわえみ）さんの「ちょっと今から人生変えてくる」です。
この作品は２０１５年に刊行され映画化もされた「ちょっと今から仕事やめてくる」の続編となるアナザーサイドストーリー！
（※続編の書評のため前作のネタバレを若干含みます）
前作では、ブラック企業でこき使われて衰弱しきっていた隆（たかし）が、「ヤマモト」と名乗る男に助けられ人生を見つめ直していく話でした。
その続編となる今作の主人公は、なんと隆を追い詰めた張本人であるブラック企業の先輩である五十嵐（いがらし）です。
再び登場する「ヤマモト」との新しい物語と、前作では語られなかった裏エピソードが今、明らかに……！
今回は、北川恵海さんの「ちょっと今から人生変えてくる」のブックレビューをお届けします。
【あらすじ】仕事に悩む人たちに勇気を与える人生応援ストーリー！
ブラック企業に勤め疲弊しきった五十嵐は、通勤電車で倒れそうになったところを見知らぬ男に助けられます。
男の名は「ヤマモト」。
その出会いから縁が繋がり、２人は友人のような交流を始めます。
毎日遅くまで仕事に追われ、精神をすり減らしながら働いてきた五十嵐にとって、ヤマモトと過ごす時間は束の間の安息でした。
自分の営業成績のために後輩を蹴落とし退職にまで追い込んできた五十嵐ですが、彼もまたブラック企業での仕事に疲れ果て、体力的にも精神的にも限界を迎えます。
「働くことに先が見えない」「会社を変える力もない」そんな五十嵐がくだした決断とは……。
仕事に悩み、日々に迷う人たちに勇気を与える人生応援ストーリーです。
スポンサーリンク
【書評】スカッと爽快で思わず泣ける読後感の良いお仕事小説！
私が前作の「ちょっと今から仕事やめてくる」を読んだのは２〜３年前のことで内容を詳しく覚えていなかったため、五十嵐という人物が前作に登場した“五十嵐先輩”だと途中まで気づきませんでした。
そのため、初めて読む方や久しぶりに読む方は、前作を読んでから一気に今作まで読むことをオススメします。
前作を読み直すことで繋がりに気付き「なるほど、そういうことか」と納得しましたが、まさか五十嵐目線から続編が始まるとは……！
これはなかなか面白い視点です。
人はそれぞれ立場が違い、仕事への想いや抱えている悩みも様々で……。
それでも生活をするために社会人として働いています。
前作では五十嵐は単なる嫌な奴で共感を生むことなどありませんでしたが、本作を読むとだいぶ印象が変わりますね。
悪役であってもとても憎めたものではありません。
この物語は２冊合わせて読むことで連作小説となり完結します。
続編となる今作があることで物語全体が明るくなり、際立って良くなりました。
スカッと爽快で思わず泣けるお仕事小説です。
ブラック企業に勤め、人生に疲れた方にオススメ！
「ちょっと今から人生変えてくる」は、ブラック企業に勤め人生に疲れてしまった方にオススメの作品です。
本作は読み口が非常に軽く、親しみやすい温かさがあるところも特徴のひとつ。
例えるなら、それは家族や友人との絆のようです。
今回、改めて前作から読み直しましたが、温もりが胸に沁みてしんみりと泣けました。
とても読みやすい小説なので、普段本を読まない方でもハードルは低いはず……！
漫画を読むような感覚で読み始めてみてはいかがでしょうか。
仕事に疲れた時に、そっと寄り添ってくれる優しい作品です。
ブラック企業に勤めていたあの頃……！
私はブラック企業に勤めた経験があります。
どのくらいのブラック度合いだったかというと、休日は月に１〜２日程度しかなく、ほとんど家に帰れずホテル住まいが当たり前！
そのくせ会社の業績が悪いという理由で毎月の給与から１０％も天引きされる会社でした。
営業成績のグラフを社内に掲示して、売上達成のフラワーリボン（選挙か……！？）を貼っていくような、今時珍しいゴリゴリの営業会社……！
辛すぎて３年で逃げだし人生を挽回しようと転職した会社は、ここではとても書けないような更にひどいブラック企業でした……。
働くことに絶望し、人との繋がりに気づけなかったあの時にこそ、この作品を手にしたかったものですが、その状況から脱出してしばらく経った今読んでも共感して救われます。
当時の辛い思いを理解して慰められたような気持ちです。
そんな訳で、「ちょっと今から人生変えてくる」は、ブラック企業に勤め仕事に打ちのめされている方や、ブラック企業の卒業生にもぜひ読んでほしい作品です。
まとめ
「ちょっと今から人生変えてくる」は、スカッとして思わず泣ける人生応援小説です。
前作の「ちょっと今から仕事やめてくる」と合わせて読むと、物語が交差するザッピングストーリーが楽しめます。
非常に読みやすい本なので、普段小説を読まない方や忙しくてなかなか読書をする気が起きない方にもオススメ！
ブラック企業に勤めボロボロになった主人公たちが、人とのつながりに気付きながら人生を見つめ直していく姿に勇気付けられる作品です。
