先日、御書印巡りをしていたところ、立川駅の「PAPER WALL」という書店で平岡瞳さんのイラストに出会いました。
平岡瞳さんのことを今まで存じ上げなかったのですが、一目見て心奪われるほど版画絵が素敵……!
書店には作品も並べられており、そこで出会ったのが「まっくろいたちのレストラン」という絵本です。
著者は直木賞作家の島本理生さんで、その挿絵を平岡瞳さんが担当しています。
“恋”をテーマにした物語に、哀愁のある版画絵がマッチした味わい深い作品です。
今回は、平岡瞳さんの挿絵が素敵すぎる“恋の絵本”「まっくろいたちのレストラン」のブックレビューをお届けします。
臆病ないたちの純粋でひたむきな恋の物語!
森でひとりきりで暮らすまっくろいたちの口元には鋭くて大きなキバがありました。
「こんなキバだから親も怖がって逃げたんだ」
いたちは悲しい気持ちに打ちのめされながらも、いつ誰が遊びにきてもいいように沢山の食べ物を獲って過ごしました。
しかし、訪ねてくるものはひとりもいません。
「いっそレストランでも開いてみるか」
そこでオープンしたレストランは瞬く間に有名に……!
ある晩、評判を聞きつけて谷の向こう側からうさぎのお嬢様がレストランを訪れました。
そこで、いたちはうさぎのお嬢様に恋をします。
孤独で愛情を知らなかったいたちが紡ぐ、純粋でひたむきな恋の絵本です。
子供も大人も楽しめる版画が素敵な恋の絵本!
「まっくろいたちのレストラン」の良さは、何よりも平岡瞳さんの絵の素晴らしさ!
版画絵独特のタッチに哀愁があり、絶妙な白色の使い方に魅了され、私は一目惚れしました。
色ごとに版を重ねて作られる版画絵で表現されたこの繊細さはまさに芸術的……!
また、島本理生さんの紡ぐストーリーとも相性抜群です。
子供に向けて作られた恋の物語と、挿絵の芸術性の高さという両方の観点から、子供でも大人でも楽しめる作品に仕上がっています。
ちなみに、私の息子(4歳)に読み聞かせて感想を尋ねたところ、「いたちのキバが少し怖かった」とのこと。
いたちがキバ持つ意味について会話をしながら、絵本を読むたびに子供の感性に触れることができて、やはり絵本はいいなと実感しました。
“恋の絵本”シリーズの第3弾!
「まっくろいたちのレストラン」は、瀧井朝世さんが編集する“恋の絵本”シリーズの第3弾です。
このシリーズは現在5冊ほど刊行されており、その著者は辻村深月さん・桜庭一樹さん・白石一文さん・村田沙耶香さんと超豪華ラインナップが並んでいます。
読んでみたいので書店に行くたびに探しているのですが、なかなか見つからず……。
特に辻村深月さんの「すきっていなわきゃだめ?」と、村田沙耶香さんの「ぼくのポーポがこいをした」がとても気になります。
いつかコンプリートしたいシリーズです。
“恋の絵本”シリーズのコンセプトは、「恋」をめぐる悩みや疑問があっても誰にも打ち明けられない子供に寄り添うこと。
昔と比べ様々な場面で価値観が変わりつつある現代の感覚に響く「好き」が描かれます。
編集者の瀧井朝世さんは、2009年〜2013年まで王様のブランチのブックコーナーに出演し、現在もそのブレーンを務めるライターです。
さすがと言わざるを得ない研ぎ澄まされたセンスを感じます。
「まっくろいたちのレストラン」原画展に行ってきました!
前述しましたが、この絵本に出会ってからというもの、私は平岡瞳さんのファンになりました。
平岡瞳さんの作品は、版画特有の擦れたような色使いがとても素敵で、絵に深い味わいを出しています。
「これはいつか版画作品を買ってしまいそうだな」と思っていた矢先、Twitterで「まっくろいたちのレストラン」の原画展が催されることを知りました。
なんとも嬉しいタイミング!
張り切って会期中に2度訪問し、じっくりと堪能してきました。
会場では平岡瞳さんご本人にもお会いすることができ(お綺麗で素敵な方でした!)、無事に版画作品も購入!
立川で初めてイラストに出会ってから想像以上に早く作品購入に至りました。
大好きなえがしらみちこさんの作品と喧嘩しないといいなぁと思いつつ、先日完成した版画絵「夜の光」を受け取りました。
この白色の使い方が素敵すぎ……!
大満足です!
まとめ
「まっくろいたちのレストラン」は、子供も大人も楽しめる“恋の絵本”シリーズの第3弾!
島本理生さんの物語と平岡瞳さんの挿絵がマッチした、とても素敵な絵本です。
版画特有のタッチと色使いに芸術性の高さを感じ、今まで知らなかった新しい世界を知るきっかけとなりました。
今後も注目したい(というかただのファンです)作家さんの1人です。
とてもかわいいので、プレゼントにもオススメします。
素敵な恋の絵本です!