真保裕一の「ローカル線で行こう!」は読めば元気が出る痛快鉄道再生ストーリー!

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この本のPOINT!

読めば元気が出る痛快なお仕事&エンタメ小説!

年齢問わず働くすべての人にオススメしたい!

本来目指すべき“働き方改革”の本質が描かれる!

今回紹介する作品は、真保裕一(しんぽゆういち)さんの「ローカル線で行こう!」です。

この作品は、現在第4巻まで刊行される累計34万部超えの人気シリーズの第2弾!

先日、3巻目となる「遊園地に行こう!」が文庫となり早速読んだのですが、やはり「行こう!シリーズ」は「ローカル線で行こう!」が個人的には1番好き……!

鉄道経営や行政が絡む地域再生をコミカルなタッチで描いているため、難しいテーマにも関わらずエンタメ小説として楽しむことができます!

今回は、真保裕一さんの「ローカル線で行こう!」のブックレビューをお届けします。

赤字ローカル線を再生せよ!読めば元気が出る痛快ストーリー! 

廃線の危機が迫る赤字ローカル線の“もりはら鉄道”は、経営再建が叫ばれながらもその手をこまねいていました。

度重なる人件費削減やコストカットに社員は疲れ、利用客は減る一方。
経営は一向に回復せず廃線待った無しの状況に……。

鉄道存続の危機を乗り越えるために前社長が白羽の矢を立てたのは、新幹線の車内販売のカリスマ・アテンンダントである篠宮亜佐美(しのみやあさみ)。

31歳の独身女性が新社長となり、鉄道再生のために奮闘します。

副社長として県庁から出向してきた鵜沢哲夫(うざわてつお)をはじめ、社員一同は新社長の過激な言動に戸惑うばかり……!

しかし、亜佐美は社長に就任するや規格外のアイデアを連発し、鉄道と沿線の町はにわかに活気づいていきます。

そんな中、これは誰かの陰謀なのか?
列車の妨害や駅舎火災など、“もり鉄”の再生に影を落とす出来事が次々と勃発……!?

赤字鉄道の再生と、寂れた沿線の町おこしをかけて、社員と地域が一丸となる痛快鉄道再生ストーリーです。

幅広い年代の働く人に読んでほしいお仕事小説!

私がこの作品と出会ったのは、会社の上司に勧められたことがきっかけ!

上司は50代半ばの部長職ですが、私から見ると会社のために人生を捧げてきた働きすぎな世代です。

そんな私と上司では、人生における仕事への価値観はどうしても異なります。
私は会社にそこまで尽くせませんし、仕事が人生の全てとは思えません……!

しかし、「ローカル線で行こう!」を通じてお互いに共感するものがありました。

この作品を読んで、仕事への取り組み方によって人生が変わっていく片鱗を見たのです。

仕事への価値観がほぼ正反対の私と上司ですが「こういう気持ちで仕事に取り組みたい」とお互いの意見が重なり、モチベーションが上がりました。

人生において1番長い時間を消費する“仕事”について、どのように取り組むべきか考えさせられる作品です。

“働き方改革”の本質が物語の中にある!

“働き方改革”が叫ばれる昨今、「ローカル線で行こう!」は胸に応える作品です。

現代社会で行われる“働き方改革”は、就業時間を短くすることでライフワークバランスを取ることにフォーカスが当てられています。

しかし、“就業時間の短縮”が人生の豊かさに繋がるとは決して言えません……!

残業を禁じ、今までよりも効率を求めて働くことは、どちらかというと“働かせ方改革”ではないでしょうか。

働き方改革の本質は「いかにやりがいのある仕事をするか」にあると私は思います。
働く“量”を減らすよりも“質”を高めることが重要です。

「ローカル線で行こう!」では、現代社会が目指す働き方改革とはほど遠く、ブラック企業さながら、社長も副社長も社員も休みなく忙しく働きます。

しかし、仕事へのやりがいを感じ、情熱を持って、鉄道の存続と地域再生に思いを馳せて働くその姿に勇気付けられるのです。

オーバーワークに歯止めをかけたり、対価を支払ったりする改革はもちろん必要ですが、私たちが本来目指すべき“働き方改革”の本質は、この物語の中に隠れています。

若干の詰めの甘さは感じるが、それを飛び越えて面白い……!

この作品は、リアルな鉄道経営や町おこしに主軸を置いて物語が進みますが、なんとも言えない粗が目立ちます。

真面目に読もうとするとツッコミどころが満載で、アマゾンのレビューを見ているとそれを不快に感じる方もいるようです。

リアルな物語であるからこそ、現実離れした発想に違和感を感じるのは否めません。

しかし、その違和感を覆すほどの面白さがこの作品にはあります!
特にコミカルで爽快な点は、読んでいて肩が凝りません!

若干のミステリー要素も加わった、エンタメ盛りだくさんの作品です。

まとめ

「ローカル線で行こう!」は、幅広い年代の働く人に読んでほしいお仕事小説です。

鉄道再生や地域活性化といった行政も絡む難しいテーマが語られますが、コミカルでエンターテイメント性が高く、非常に読みやすい作品に仕上がっています。

働くことの本質が描かれ、仕事について前向きになれる点もオススメ要素のひとつ。
読むと自然と元気が湧いてくる作品です!

物語のエピソードや設定に若干の詰めの甘さを感じますが、それを覆すほどの爽快さはエンタメ小説として非常に良くできています。

私の好きな1冊です。