本好きが集まるお出かけスポットをインターネットで探していると、渋谷に一風変わった図書室のようなブックカフェがあるとのこと。
その名も「森の図書室」。
「働いている大人でも、気軽につかえる図書室を」というコンセプトで作られたこのお店は、本に囲まれながら飲んだり食べたりおしゃべりができる空間です。
“飲食禁止・館内ではお静かに”が当たり前の図書館とは違い、「森の図書室」ではお酒や食べ物と一緒に好きな本を楽しめます。
渋谷の喧騒を忘れ、1万冊の本に囲まれた空間でおしゃべりを楽しむのは格別のひとときです!
今回は「森の図書室」の訪問レビューをお届けします。
「森の図書室」の基本情報
「森の図書室」は渋谷駅から徒歩10分、または京王井の頭線神泉駅から徒歩5分程のところにあるブックカフェ&バーです。
道元坂上にあるカフェドクリエが入っているビルの3階にお店はあります。
「飲んだり食べたりおしゃべりができる図書室」というコンセプトのもと、2014年にオープンしました。
【営業時間】
月~金 12:00~17:00、18:00〜24:00
土〜日 12:00~17:00、17:00〜24:00
【定休日】
不定休
平日の営業時間は2部制となっており、それぞれ席料が500円かかります。
(土日祝日は通し営業です)
別途ドリンク代として、昼はソフトドリンク飲み放題が必須オーダーで1,000円、夜はアラカルトでのオーダーが必要です。
例えば、平日の昼12時に入店した場合は17時まで滞在することができ、ソフトドリンク飲み放題でお会計は1,500円になります。
土日祝日は通し営業ですが、昼から夜(17時以降)にまたいで滞在する場合は再度1オーダーが必要です。
会員制について
「森の図書室」は、年会費11,000円(学生は半額の5,500円)で会員になることもできます。
会員になると、入口ドアのカードキーをもらえ、席料の500円が無料になり、好きな本を蔵書としてお店に置くことが可能です。
店内はフリーwifiや電源も自由に使えるので、会員になってコワーキングスペースとして利用するのも良さそう!
私は渋谷には滅多に行きませんが、この会員制にはちょっと興味がありますね。
通勤経路内だったら入会していたかも……?
本の貸し出しも可能!
「森の図書室」では、その名の通り“本の貸し出し”も行なっており、誰でも無料で借りることができます。
貸し出し期間は1ヶ月。
借りる本の定価をデポジットとして預ける必要がありますが、返却時にお金は戻ってきます。
ちなみに1ヶ月を過ぎると本は買い取りになるので要注意!
中には借りられない本や、お店の混雑時には貸し出し手続きに時間を要する場合もあります。
本に登場する料理やお酒が並ぶメニュー!
「森の図書室」はソフトドリンクの他に、本に登場するお酒や料理のメニューを取り揃えています。
以前訪問したミステリーカフェ「謎屋珈琲店」にも本に登場する料理のメニューがありましたが、こういう演出は本好きとしては堪らないですよね。
「ランチのアッコちゃん(柚木麻子著)」の“東京ポトフ”900円や、「西の魔女が死んだ(梨木香歩著)」の“パパの好きなキッシュ”600円など、物語に登場する料理が並びます。
この日、新宿にあるブックカフェ「ブルックリンパーラー」でステーキを食べて、お腹がはち切れそうになるほど満腹だったためフードメニューはオーダーしなかったのですが、次回訪問時には頼んでみたいメニューがちらほら。
ラピュタトーストって目玉焼きが載ってる伝説のアレでしょうか……?
また、日曜日〜木曜日には時間無制限の飲み放題2,000円や、2時間飲み放題付きのコース料理4,000円もあり、がっつりとお酒を楽しむこともできそう!
3杯以上飲むのでしたら時間無制限の飲み放題の方が圧倒的にお得ですね。
ちなみにアラカルトのメニューは、フードもドリンクも500円〜1,000円ほど。
平均予算は昼1,500円〜2,000円、夜は2,000円〜3,000円くらいです。
参考までにお店のメニューを一部掲載します。
【メニュー】
生ビール:600円
ビオワイン:600円
カティサーク:700円
ロンサカパ:950円
ジントニック:700円
ソフトドリンク:500円〜
自家製ピクルス:500円
ポテチ:400円
ケーキ:600円
1万冊の本に囲まれた隠れ家的な空間!
「森の図書室」は古ぼけたビルの3階にあるのですが、初めて訪問した際はあまりの隠れ家っぷりに驚きました!
エレベーターを降りると、そこは全くお店の雰囲気がゼロ!
一応、立て看板があるので階は間違ってなさそうですが、一体どうやってお店に入るだろう……?と、右往左往しているとドアの横にインターフォンが……!
「インターフォンを押してしばらくお待ちください」という文字を見て、「やっぱり帰ろうかな」という気分にもなりましたが勇気を出してピンポン!
すると、インターフォンから「ドアを開けてお待ちください」との声が!
古いマンションのドアのような鉄扉(てっぴ)を開けてみると……、
本棚……!? ドアを開けたら急に本棚が現れます!
この本棚が自動ドアのようにスライドしてようやく入店することができました。
結構緊張したけどこの時点で面白い!
お店に入るとそこは本に囲まれた素敵な空間が広がっていました!
自然とテンションが上がります!
この日は平日の14時頃に訪問したのですが、お客さんは数人ほどで空いていました。
(土日は満席になるそうです)
昼は先にお会計(席料とフリードリンク代1,500円)を済ませて好きな席に座ります。
店内にはベッドを並べたようなソファー席もあり、足を伸ばしながら本を読むこともできそう!
お店の蔵書は新刊からノベルスの他に絵本などもあり様々で、敢えて順不同に並べているとのこと。
ジャンル分けをしないことで、普段手に取らない本との出会いの場にして欲しいという想いが込められています。
椅子が座りにくい点が唯一の欠点かも……!?
「森の図書室」の椅子は木製で見た目にはおしゃれですが、硬くてグラグラするので若干座りにくいです。
また、私には机が高いのか、それとも椅子が低いのか……?
とにかくバランスが悪くて、長時間座っていると疲れます。
座る場所によるのかもしれませんが、これはちょっと残念なポイントです。
なんて文句を言いながら店内をよく見たら、普通の椅子もありました……!
木製の椅子が苦手な方は、お店の右奥がオススメです!
全24種のオリジナルコースター!
ドリンクをオーダーすると、くじ引きでコースターを1枚もらえます。
24種類あるこのコースターには、オーナーである森さんの読書感想文が書かれているとのこと。
私は「ハンサムスーツ(鈴木おさむ著)」のコースターが当たりましたが、オリジナリティがあってなかなか面白い……!
24種類コンプリートしたくなってしまいますね。
コースターで紹介されている本は、お店の中央にある棚に面陳(めんちん)されているので、感想文を読んで興味を持った作品があればすぐに読むことができます。
ちなみに、物語に登場する料理の本(ランチのアッコちゃんなど)もこのコーナーにありました。
こういった何気ない場面で、本との出会いを提供してくれる素敵なお店です。
柱には著名作家のサインも……!
お店の柱を何気なく見ると、なんと辻村深月さんのサインがあるではありませんか!?
「森の図書室で運命の一冊を!」というメッセージがとても熱いです!
お店の蔵書には私の好きな「凍りのくじら」のノベルス版もあり、とても興奮しました。
今では古本屋でしか手に入らない貴重品です!
また、会員が自分の好きな本を置くことができる蔵書コーナーがあるのですが、そこにもサイン本があったり、寄贈した方の本の感想が書かれていたり非常に面白いです!
本が好きな人によって支えられているお店なのだなと伝わってきます。
本好き同士での読書トークが面白い!
私が訪問した際、他のお客さんが少なかったので店員さんと読書トークをすることができました。
「森の図書室」はおしゃべり肯定のお店なので、お店のBGMも少し大きめ!
(と言っても、うるさくはなくちょうどいいボリューム)
本に囲まれながら本の話をするのはとても楽しいです!
蔵書を眺めながら「この本のここが良かった!」と語っていると、改めてその本が好きになりまた読みたくなりますね。
高校生の頃に読んだ「バトル・ロワイアル」を本棚で見つけては「三村が死んだ時のページの割り振りが良かった!」なんて話したり、「この本は映画で社会問題にもなりましたよね」と思い出を語ったり。
普段、会社の飲み会や友人との会話では、本の話ばかりできないですよね。
読書は基本的に一人でするもので、私は普段本の話をすることはありません。
しかし、やはり心のどこかでは「本についてもっと話したい」という願望があります。
知らない人にいきなり話しかけるのはハードルが高いですが、「きっとここにいる人はみんな本が好きなんだ」と思える空間は、とても居心地の良いものでした!
店員さんオススメの本を読んでみた!
せっかく普段読まないような本が沢山あるので、店員さんにオススメの本を聞いてその場で読んでみました。
その日は滞在できるのが2時間ほどしかなかったので、サクッと読める本をリクエスト!
そこで紹介してもらった本が、宿野かほるさんの「ルビンの壺が割れた」です。
読みやすい文章で、私は1時間半ほどで読了! なるほどサクッと読めました。
この作品は、手紙のやりとりだけで物語が進む“書簡体小説”というジャンルです。
ミステリー風ですがミステリーではなく、ホラー要素はありますがホラー小説でもない不思議な雰囲気。
ジェットコースターのような急展開にドギマギさせられましたが、短時間でスラスラ読める本として面白かったです!
結末がなかなかサイコな展開で、私は思わず笑ってしまいました。
なんとも言えない読後感が、賛否両論ありそうな作品ですね。
ちなみに著者の宿野かほるさんは覆面作家で、プロフィールは一切明かされていません。
自分ではまず買わない作家さんの本に出会えるのも、森の図書室の醍醐味です!
面白い本をご紹介頂き、ありがとうございました!
平日夜に再訪してきました!
「森の図書室」の雰囲気が気に入ったので、4日後に再訪してきました!
月曜日の夜19時過ぎにお店に到着。お客さんは4組ほど。皆さん2人組。
以前訪問した際に気になっていた「ランチのアッコちゃん」に登場する“東京ポトフ”をオーダーしてきました!
思っていたよりボリューミー!
2〜3人でシェアしてちょうど良さそうな量です。
キャベツ、玉ねぎ、にんじん、セロリ、しめじ、ベーコンと具沢山で、私は1人で食べましたが結構お腹が膨れました!
優しい味わいで野菜が沢山取れて美味しかったです!
平日夜は程よく静かでした!
私は19時〜23時頃まで滞在していましたが、お店は普通のカフェに比べて程よく静かでした。
2人組が多かったですが、私のように1人で来ている人もちらほら。
もちろんおしゃべりを楽しんでいるお客さんもいますが、気を使いながら話している様子。
週末はもっとにぎやかになるのかもしれませんが、カップルのデートで訪れてもいい雰囲気ですよ!
まとめ
「森の図書室」は、渋谷にあるブックカフェ&バーです。
渋谷という土地柄とは対照的で隠れ家的な雰囲気は居心地が良く、本が好きな人はきっと好きになるはず……!
注文をするのにも気を使うような静かなブックカフェも中にはありますが(それはそれでとても魅力的ですが)、「森の図書室」は本に囲まれながら飲んだり食べたりおしゃべりができる空間です。
恋人や友人と来てもいいですが、一人でも気兼ねなく楽しめますよ。
昼も夜も居心地の良いひとときを過ごすことができます!
皆さんも「森の図書室」で運命の一冊を!