2020年6月19日に村山由佳さんの最新刊「ありふれた祈り」が刊行され、20年以上続いてきた「おいしいコーヒーのいれ方(通称“おいコー”)」シリーズが遂に完結しました。
待ちに待った「おいコー」の続編が読めるなんて、こんなに嬉しいことはありません!
しかも堂々の完結だなんて……!
私が「おいコー」に出会ったのは、今から20年以上前の1999年夏。
当時、高校生だった私が本格的に読書を始めるきっかけとなった小説で、まさに青春を代表する作品と言っても過言ではありません!
今回は村山由佳さんの「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズの完結編「ありふれた祈り」のブックレビューと、20年分の熱い想いをお届けします。
- 「おいしいコーヒーのいれ方」のあらすじ
- 累計545万部超えの人気恋愛小説が遂に完結!
- 最終巻「ありふれた祈り」は10回以上泣きながら読みました!
- 共に成長し寄り添ってくれた小説とこれからも歩み続けたい!
- 青春の1ページを飾る特別な作品!
- まとめ
「おいしいコーヒーのいれ方」のあらすじ
幼い頃に母を亡くし父と2人で暮らしてきた勝利(かつとし)は、高校3年生の春、父の転勤をきっかけにいとこ姉弟と同居することに。
そこで、5歳年上のいとこであるかれんと再会します。
しばらく会わない内に美しい変貌を遂げた彼女に驚きを隠せない勝利。
しかも、この春に大学を卒業した彼女は、勝利が通う高校の新任教師になっていました。
同じ屋根の下で暮らす内に、かれんの哀しい秘密を知った勝利は、彼女を守ってあげたいと思うようになり、いつしか恋に落ちていきます。
いとこであるだけでなく教師と生徒の関係である2人は、果たして結ばれるのか……?
ピュアで真摯な恋愛小説です。
累計545万部超えの人気恋愛小説が遂に完結!
「おいしいコーヒーのいれ方」は、1994年に刊行されたシリーズの第1巻「キスまでの距離」から26年間に渡って連載を続けた大長編の恋愛小説です。
その冊数は19巻にも及びます。
元々はジャンプJブックスというライトノベルのレーベルからスタートしましたが、1999年に集英社の「ナツイチ!」に紹介され、文庫版が刊行されました。
私がこの作品に出会ったのはこの頃ですね。
当時、村山由佳さんの「COFFEE BREAK」というサイトに“WEB NOVEL”という形で無料掲載されており、その巻の最終話のみ書籍を買って読むというスタイルでした。
今回の最新刊も“web集英社文庫”に場所を変えて、最終話以外は無料で掲載されています。
1999年に文庫化されてからは1年に1冊のペースで新刊が出ていましたが、前作の「地図のない旅」が2013年に刊行されて以降、パッタリと連載が止まりました。
「一体何があったのだろう……?」と7年間忘れることなく悶々としておりましたが、今回ようやく続きが読めることに!
ちなみに最新刊の発売日は有給休暇を取得して、万全の体制で臨んだ次第です笑
感無量とはまさにこのこと……!
「おいしいコーヒーのいれ方」シリーズ堂々の完結です!
最終巻「ありふれた祈り」は10回以上泣きながら読みました!
前置きが長くなりましたが、最新刊であり完結編の「ありふれた祈り」は、涙なしには読み進められませんでした。
私には登場人物が他人には思えず、安心したり、ハラハラしたり、まるで物語の当事者のよう……!
勝利が抱えていた“罪”と“赦し”に心を揺さぶられ、大げさな例えではなく10回以上泣きながら読みました。
物語の登場人物をこんなにも近しく感じるのは、ただ単に付き合いが長いからだけではなく、キャラクターが本の中で生きているからです。
住む世界は違えど生活している彼らを私は知っていて、それが心と繋がっているように感じます。
友人でもなく、家族でもなく、強いていうなら自分の分身のような存在。
そんな風に思える作品と出会えたことは、私の人生において本当に幸せなことです。
大切な人とただ一緒にいたいと願う。
そんなありふれた祈りを、どうか叶えて欲しい。
勝利やかれんだけでなく、登場人物みんなの幸せを祈りながら読み終えました。
「おいコー」への想いが止まりません!
共に成長し寄り添ってくれた小説とこれからも歩み続けたい!
恋愛の仕方も知らなかった当時高校生の私も、今では酸いも甘いも嚙み分けるアラフォーの大人になりました。
楽しいことも辛いことも色々と経験してきましたが、この作品はずっと私の傍にいます。
こんなにも長い間、共に成長し寄り添ってくれた小説は他にありません。
「おいコー」シリーズはライトノベルのレーベルから始まったこともあり、初期ほどユーモラスで軽やかな恋愛小説ですが、セカンドシーズンに入ってからはシリアスな場面も多く描かれます。
大人になるにつれ、ピュアで真摯な“恋愛小説”を素直に楽しめなくなりがちですが、「おいコー」は大人になってから読んでも遅くはありません!
きっと青春時代に味わった甘酸っぱい心の機微を思い出させてくれるはず。
人を思い遣る強さに勇気付けられ、叶わぬ恋に心を病み、時にもどかしく、すれ違い、傷つけ合い、それでも好きな人を求め恋に落ちていく。
物語の中では甘い恋愛だけでなく、償いきれない罪に逃げ出す泥沼のような出来事も起きます。
そのひとつひとつが私にとってはただの恋愛小説の物語とは思えず、この作品に描かれる家族への愛や友情はかけがえのない宝物です。
「おいしいコーヒーのいれ方」に出会えて良かったと心から思います。
物語はひとまず終わりましたが、これから先もページをめくっては共に歩み続けたい作品です。
青春の1ページを飾る特別な作品!
「おいコー」への想いはプロフィールにも書きましたが、私が高校生の頃に読書を本格的に始めるきっかけとなった作品でもあります。
シリーズ第1巻の「キスまでの距離」を読んでからというもの村山由佳さんの大ファンになり、刊行されている作品は小説からエッセイまで全て読みました。
中でもやはり「おいコー」シリーズは特別で、本編だけでなく“あとがき”も楽しみにしていたほど……!
「キスまでの距離」のあとがきに「ノンストップエンターテイメント!」という言葉が出てきます。
昔なら「巻措く能わず(かんおくあたわず)」なんてしち難しい言葉を使ったところですが、要するに「一度読み始めたら面白くてやめられない」という意味です。
私はこの言葉に物凄く感銘を受けて、後に大学で創設するアカペラサークルのモットーにしました。
村山由佳さんの作品のように、「一度歌い出したら、聴き始めたら、楽しくてやめられない!」という意味が込められています。
「おいコー」に出会ってから「ノンストップエンターテイメント!」という言葉は私から片時も離れず、今でもずっと心に住み着いています。
そんな風に“あとがき”に心を奪われるほど、昔から「おいコー」シリーズが大好きでした。
まさに「おいコー」こそ「ノンストップエンターテイメント!」です!
まとめ
20年以上前から読み続けてきた「おいコー」シリーズが無事に完結しました。
読み終わってみると、嬉しさと寂しさが入り混じったような複雑な気持ちです。
この作品を通じて私が得たものは一言では表せませんが、人と人が出会い繋がっていくことの愛しさを教えてくれた作品であったと思います。
また別の機会に、勝利やかれんの物語を読むことができたら、そんなに嬉しいことはありません。
私の青春が詰まったこの作品と、いつまでも繋がっていけることを祈って。
勝利やかれんと、著者の村山由佳さんに心から感謝します。
今までありがとう。
お疲れ様でした。
そして、これからも、よろしくお願いします。