本の中に愛が見えるハートフルストーリー!成田名璃子の「東京すみっこごはん」

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今回紹介する作品は、成田名璃子(なりたなりこ)さんの「東京すみっこごはん」です。

本の中で愛が見えるような心温まるこの作品は、文庫書き下ろしのシリーズ物で、2019年6月現在では第4巻まで刊行されています。

この作品は、手作り料理を共に食べる共同台所である“すみっこごはん”を通じて、美味しい家庭料理と人々の温かい交流が描かれる連作短編集です。

イジメに悩む女子高生、婚活に悩むOL、人生を見失ったタイ人など、ワケありの人々が巻き起こす人生のドラマから目が離せません!

最近読んだ本の中でも特にオススメしたい、私の大好きな作品です。

今回は、成田名璃子さんの「東京すみっこごはん」のブックレビューをお届けします。

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前代未聞の“読者が犯人”となるミステリー!深水黎一郎の「最後のトリック」

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今回紹介する作品は、ミステリー史上初の“読者が犯人”となる問題作! 深水黎一郎(ふかみれいいちろう)さんの「最後のトリック」です。

「読者が犯人って一体どういうこと!?」と、誰もが思うこの作品。

実際に読んでみると本当に読者が犯人になってしまいます。
つまり私も犯人の1人です。

このトリックは「意外な犯人」を追い求める昨今のミステリー界において、まさに「究極の犯人」を描いた作品と言えるもの!

Amazonのレビューを見ていると「ミステリーの掟破りだ」という意見もあり、賛否両論どころか“否定”ばかりが目立ちますが、私は「いつ犯人になってしまうのか?」とドキドキしながら楽しく読むことができました。

今回は、誰も成し遂げられなかった不可能トリックを描いたミステリー、深水黎一郎さんの「最後のトリック」のブックレビューをお届けします。

初めて犯人になりましたが、決して悪くありませんでしたよ。

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程よい謎解きの心温まるミステリー!成田名璃子の「不機嫌なコルドニエ」

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今回紹介する作品は、成田名璃子(なりたなりこ)さんのハートフルミステリー「不機嫌なコルドニエ」です。

コルドニエというのはフランス語で「靴屋」のこと。

この作品は、腕利きの靴職人が靴屋に訪れる顧客が抱えた悩みを「靴の声」を聞きながら解きほぐしていく、心温まるミステリー小説です。

ハートフルミステリーと聞くと、「謎解き要素は大したことがないのではないか」と思われがちですが、決してそんなことはありません!

程よい謎めき感と、成田名璃子さんの作品特有の温かさが絶妙にマッチしており、私は想像もできなかった意外な展開に読む手を止めることができませんでした。

ほのぼのミステリーだと油断していると、最後にびっくりさせられますよ……!

今回は、靴職人のオーダーメイド謎解き日誌「不機嫌なコルドニエ」のブックレビューをお届けします。

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宮下奈都の「遠くの声に耳を澄ませて」は優しく背中を押してくれる短編集!

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今回紹介する作品は、文喫の“選書”サービスを利用して「泣ける本」をリクエストした際に選んでもらった1冊、宮下奈都(みやしたなつ)さんの「遠くの声に耳を澄ませて」です。

この作品は、“旅”をテーマに描かれた12編からなる連作短編集で、雑誌「旅」に12回に渡って連載されていました。

1編ずつ登場人物が変わりますがそれぞれに繋がりがあり、“旅”を通じて一歩踏み出していく人生の決断が描かれます。

人生の岐路に立つ人々をやさしく見守りそっと背中を押してくれる、前向きになれる作品です。

今回は、気持ちを立て直し決断を下す勇気をくれる短編集「遠くの声に耳を澄ませて」のブックレビューをお届けします。

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東野圭吾の「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は優しい気持ちが心に灯る笑って泣ける本!

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今回、紹介する作品は東野圭吾さんの「ナミヤ雑貨店の奇蹟」です。

この本と出会ったのは、とあるツイッターでのつぶやきがきっかけでした。

それは、以前投稿した「1000冊以上の本から選んだ感動して泣ける本7選」にリツイートしてくれた、なおこさんの一言。

このツイートに突き動かされて即買いしてきたのが、もちろん「ナミヤ雑貨店の奇蹟」です。

早速読んでみたところ……、コミカルで笑える展開でありながら、優しさや切なさが胸に刺さり思わず涙が溢れる傑作でした!

こういった心を動かされる本に出会えるから読書はやめられません!

そんな訳で今回は、悩める人に読んでほしい傑作「ナミヤ雑貨店の奇蹟」のブックレビューをお届けします。

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日暮キノコの「喰う寝るふたり 住むふたり」は、男女両方の目線で描かれる恋愛ザッピングストーリー!

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今回は私の好きな漫画「喰う寝るふたり 住むふたり」を紹介します。

この作品は2012年から2014年にかけて、月間コミックゼノンにて連載し、全5巻で完結しました。

内容は同棲をテーマにした恋愛漫画なのですが、描かれ方が少し変わっています。

それは、同じストーリーが「彼氏側」と「彼女側」の両方の目線で描かれており、2話を合わせて1つの物語となっているところ。

「カップル両方の目線で読める」恋愛ザッピングストーリーですが、男女の感性の違いが如実にわかり実に面白いです。

今回は、男が読んでも女が読んでも楽しめる同棲物語「喰う寝るふたり 住むふたり」のブックレビューをお届けします。

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こだまの「夫のちんぽが入らない」は夫婦生活の苦悩と愛情を描いた私小説!

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今回紹介する作品は、こだまさんの「夫のちんぽが入らない」です。

何度見ても強烈なタイトルがとびきりインパクトのあるこの作品。
下世話な話なのかと思いきや、夫婦生活での“苦悩”や“愛の形”がひたむきに描かれています。

正直に言うと、書評を書くべきか非常に迷った1冊でもありました。

なぜなら、こだまさんのあまりにも正直な愛と性の告白を前に、私自身も正直にならなくてはならず書き終える自信がなかったからです。

それでもこの作品が少しでも広まることで、私のように救われる方がいるかもしれないと考え、書評記事を書くことにしました。

今回は、こだまさんの夫婦生活での苦悩やそれを上回る愛情が描かれた私小説「夫のちんぽが入らない」のブックレビューをお届けします。

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【ネタバレ】本多孝好の「真夜中の五分前」の考察を徹底解説!

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今回の記事では、前回投稿した「真夜中の五分前」の考察をネタバレ前提で徹底解説します。

この作品は恋愛小説ですがミステリー要素が強く、真相が読者に委ねられ漠然とした終わり方をするのも特徴のひとつ。

私はなんとも悲劇的な「side-B」が受け入れられずに長い間モヤモヤとしていました。

今回は、そのモヤモヤ解消のため、私の考察を徹底的に解説します!

ネタバレ前提であらすじを解説しますので、この本を読むつもりの方はこれ以上読み進めるのをお控えください。

本多孝好さんの喜劇と悲劇を描いた恋愛小説「真夜中の五分前」のネタバレ徹底解説をお届けします。

前回の書評記事はこちらからどうぞ!

sutekinayokan.hatenablog.com

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本多孝好の「真夜中の五分前」は運命に翻弄された喜劇と悲劇を描く恋愛小説

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先日、知念実希人さんの「レフトハンド・ブラザーフッド」を読んで、印象的だった双子の物語があったことを思い出しました。

それが今回紹介する本多孝好さんの「真夜中の五分前」です。

一卵性双生児が抱える“アイデンティティを揺るがす苦悩”を描いたこの作品は、「side-A」と「side-B」に分かれた上下巻構成なのですが、2冊の物語は喜劇と悲劇ほどの差があります。

初めて読んだのは15年くらい前になりますが、私は悲劇的な「side-B」がどうしても受け入れられず、読み返すにもためらいを感じるほどでした……。

若い頃に受け入れられなかった「side-B」ですが、今読んだらどんな感想を抱くのか気になり久しぶりに読んでみると、やはり当時とは違った感想を抱き、今まで気づかなかった視点にも気づくことができました。

今回は、運命に翻弄された喜劇と悲劇を描く本多孝好さんの恋愛小説「真夜中の五分前」のブックレビューをお届けします。

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知念実希人の「レフトハンド・ブラザーフッド」は兄弟の絆を描く疾走感溢れる長編ミステリー!

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今回紹介する作品は知念実希人さんの疾走感溢れる長編ミステリー「レフトハンド・ブラザーフッド」です。

双子の弟の左手に亡くなった兄が宿り、殺人事件の冤罪を晴らす為に2人で真犯人を捜し求める奇妙な逃避行を描いたこの作品は、“兄弟の絆”が鍵となり探偵役は左手の兄という斬新さ!

今まで見たことのないこの物語は、ミステリーとしてだけでなく、サスペンス青春小説としても楽しめます。

450ページを超えるなかなか分厚い長編ですが、のめり込んでは続きが気になり、あっという間に読んでしまいました!

疾走感が心地よく、どんでん返しのラストは切なくも爽快で救われる作品です。

今回は、知念実希人さんの「レフトハンド・ブラザーフッド」のブックレビューをお届けします。

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ジョン・ウィリアムズの「ストーナー」は平凡な男のありふれた人生を描いた美しい物語

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今回紹介する作品は、文喫の“選書”サービスを利用して「泣ける本」をリクエストした際に選んでもらった1冊、ジョン・ウィリアムズの「ストーナー」です。

「日本文学のノンフィクションの泣ける本をできれば文庫本で」というリクエストに対し、「リクエスト外ですが良かったら」と外国文学のハードカバーでしかも2,600円もするこの作品を紹介されたとき、驚きましたがすぐに買おうと決めました。

本の装丁に惹かれたこともありますが、あえてこの条件でも紹介してくれたところに魅力を感じたのがその理由です。

期待して読んでみると、読むごとに引き込まれるストーリーは切なさに溢れており、文章が美しく翻訳も素晴らしい作品でした。

50年以上前に刊行されたとはとても思えない、現代社会においてもリアリティーを感じさせる、平凡な男のありふれた人生を描いた作品です。

今回は、ジョン・ウィリアムズの「ストーナー」のブックレビューをお届けします。

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こだまの「ここは、おしまいの地」は泣くほど笑える自伝的エッセイ!

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今回紹介するこだまさんの「ここは、おしまいの地」は、文喫の“選書”サービスを利用して「泣ける本」をリクエストした時に選んでもらった1冊です。

ところが、「泣ける本」をリクエストしたにも関わらず、この本の帯には「爆笑しました」というコメントがあり、どう考えても「泣ける本」には見えません……。

本当に泣けるのか困惑しながらも読み進めていったところ、納得、この本は「泣けるほど笑える本」だったのです!

今回は、こだまさんの涙が出るほど笑える本「ここは、おしまいの地」のブックレビューをお届けします。

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